【大阪】大冠、公立19年ぶり決勝進出 無名左腕が波乱の夏の主役

[ 2017年7月30日 05:30 ]

第99回全国高校野球選手権大阪大会準決勝   大冠3―1上宮 ( 2017年7月29日    シティ信金スタ )

<上宮・大冠>上宮打線相手に9回1失点の投球を見せた大冠・丸山は最後の打者を打ち取りガッツポーズ
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 二ゴロで27個目のアウトを奪うと大冠(おおかんむり)の丸山は翼のように両手を広げた。1メートル83、78キロの細身のエースは大きく、そしてたくましく見えた。上宮を1失点完投。初の甲子園へ王手をかけた。

 「高めだとスタンドまで持っていかれるので、真っすぐも変化球も低めに集めた。早く追い込んでボール球を振らせ、ゴロを打たせるのが僕のスタイル」

 最速135キロの直球とカーブ、スライダー、チェンジアップで13個のゴロアウト。被安打7も、長打はゼロだった。打っても3回1死二塁で左翼線に先制二塁打を放ち、5回にも2死一塁から左前打し飯隈、寺地の連続適時打につなげた。

 「公立校だからとナメられがちだけど絶対に見返したい。ふだんのミーティングでも監督から“私立に負けるな”と言われている」

 全7試合に先発。特に3回戦から東海大仰星、北野、大阪偕星、春日丘、そしてこの日の上宮と5試合続けて過去の甲子園出場校を撃破した。「中学では最後は控えのピッチャーで背番号3をつけて一塁を守っていた。強豪私学に行くという考えもなかった」。大冠の体験練習に参加して100人を超える全部員の大きな声に身震いし、激しい練習に胸を熱くして進学を決めた。「こだわりはある」という背番号1は2年秋から付けている。高槻市の阿武山中では軟式を握っていた無名左腕が、波乱の夏の主役に躍り出た。

 大阪の公立校が夏の頂点に立ったのは1990年に中村紀(元近鉄)を擁した渋谷が最後。22年目の指揮をとる東山宏司監督は決勝戦へ「挑戦者の気持ちで食らいついて行くだけです」。主将の猪原は「打のチームなので、ここまで全試合で先攻。明日も先攻をとって僕らの形で攻めていきたい」。大きな冠を手にするまで、あと一つだ。

 ≪1代表では22年ぶり決勝≫大冠が勝ち、初の決勝進出。大阪の公立校の決勝進出は1998年桜塚以来、19年ぶり。この時は記念大会で南北大阪大会に分かれ2校代表制になっており、1代表では95年市岡以来、22年ぶり。公立校の優勝は90年渋谷が最後。

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2017年7月30日のニュース