清宮、高校最多タイ107号 甲子園王手「集大成見せたい」

[ 2017年7月29日 05:30 ]

第99回全国高校野球選手権西東京大会   早実4―1八王子学園八王子 ( 2017年7月28日    神宮 )

7回無死、早実・清宮が左翼へ通算107号となる本塁打を放ち三塁ベース前で雄叫びを上げる
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 早実の清宮幸太郎内野手(3年)が28日、高校通算最多記録とされる107号本塁打を放った。第99回全国高校野球選手権大会(8月7日から15日間、甲子園)の西東京大会準決勝、八王子学園八王子戦に「3番・一塁」で出場。7回のソロで、神港学園・山本大貴の記録に並んだ。昨夏準々決勝で敗れた相手に雪辱し、30日の東海大菅生との決勝(神宮、午後1時開始)で甲子園出場と記録更新を狙う。

 万雷の拍手が送られる中、ダイヤモンドを一周する清宮は何度も手を叩いた。そして、何度も叫んだ。大粒の涙を流し「この負け、あの打席は絶対に忘れない」と誓った昨夏から370日。スラッガーらしい豪快な一発で大記録に並んだ。

 「あの打席からこの一年が始まった。あの打席を思いつつ、この一年トレーニングを重ねてきた。やり返してやるという思いは強かった。成果が、あの一本に凝縮された」

 2―1接戦の7回。2ボールからの3球目だった。外角低めに逃げていくチェンジアップ。「狙い通りに来た」ときっちりためて、軸回転で叩いた。相手は大きく右に寄り、深く位置する「清宮シフト」。打球は左中間を守る左翼手の正面へ向かう。「ヒットかな」と一瞬感じた低弾道が何とそのまま、左中間席に刺さった。今大会8安打中4本塁打、単打はわずか1本。驚異のパワーを1万7000観衆に見せつけた。

 昨年の西東京大会準々決勝の再戦。昨夏は3―6の9回1死一、三塁で、投手はこの日と同じ米原だった。一発出れば同点の場面で右翼への飛球はフェンス手前で右翼手のグラブに収まった。

 新チーム最初のミーティング。「この負けを糧にしよう」。飛距離5メートル増を誓い、姿勢、呼吸法まで見直した。全ては、味わった悔しさを晴らすため。「ここで勝たなければ今まで自分たちがやってきたことの正しさが証明されないと思っていた」。相手の守備網を飛び越える会心の一発は成長の証だった。

 準決勝進出を決めた翌26日の全体ミーティング。雪辱を期す一戦の前だが、主将はナインの気迫が足りないと感じていた。ナインに「去年の秋に比べたらメラメラしたものがない。この雰囲気のままじゃ絶対ダメだ」と危機感を植え付けた。全員で見たのはセンバツ出場を決めた昨秋の東京都大会決勝、日大三戦の映像。「どういう目の色、表情をしていたか」を見直し、戦闘モードを高めた。試合前夜には今大会のプレー集をまとめた今夏2度目のモチベーションビデオを流し、ナインの心を一つにした。

 「まだ並んだだけ。次打ったら、しっかり自分の中でも超えたなという感じはあると思う」。追い求めるのは勝利につながる一打。大会前、ナインに「清宮幸太郎の集大成を見せたい」と宣言した。新記録の一発を優勝に導く一発にしてみせる。 (東尾 洋樹)

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2017年7月29日のニュース