【徳島】決勝戦後の美しい光景…敗れた相手を思いやる気持ち

[ 2017年7月28日 06:22 ]

第99回全国高校野球選手権徳島大会決勝   板野0―6鳴門渦潮 ( 2017年7月27日    鳴門オロナミンC )

<鳴門渦潮・板野>試合中に負傷交代した板野・前田捕手も車いすで閉会式に参加。森井主将とともにグラウンドを後にする
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 鳴門渦潮(徳島)が9年ぶり7度目の優勝を飾った決勝戦。閉会式の準備ができるまでのわずかな時間、敗れた板野の三塁側ベンチに森井絃斗投手(3年)の姿はなかった。全5試合を完投した主将は、涙の残る顔のまま、他の部員たちとともにトンボを持ってグラウンド整備していた。

 「疲れはありましたが、打たれたのは自分の能力不足。チームに申し訳ないです」

 気丈に語った右腕は、初回から苦難の連続だった。連投の影響か、制球が定まらない。安打と2四球で招いた2死満塁から中前打で先制を許した。不運なことに、中堅手からの返球を止めようとした捕手の前田が本塁上で二塁走者と激しく衝突。交代を余儀なくされ、チームは守備の要を欠いた。

 「オレが抑えるから、捕ってくれるだけでいいよ」

 代役として左翼から回った金森の焦った顔を見て、気楽になれるよう声をかけた。2回は捕逸にサインミスも出て、さらに2点を失った。久しぶりにマスクを被った金森が「内角球を捕りづらそうにしていた」ことで外角中心の配球になり、鳴門渦潮打線も見逃さなかった。

 春夏通じて初の甲子園出場へ、打線も執念を見せた。5回1死から金森、森井が連打。続く松本の左安打で一塁走者の森井が二塁をオーバーランしてタッチアウト。6回は2死から金森が中堅への安打を放ち、二塁を狙って憤死。なんとか得点を取りたいという気持ちが空回りした。

 鳴門渦潮の松崎健太主将(3年)は、甲子園へ行ける喜びを口にする中、大会屈指の好投手を攻略したことについてだけは言葉を濁した。

 「相手のキャッチャーもケガしてしまったので、そのあたりはなんとも言えません」

 同じ捕手として前田の無念、本来の投球ができなかった森井の悔しさを推し測った。閉会式には負傷交代した前田も車いすに乗ってグラウンド入り。最後尾の森井が押す車いすのタイヤが土に取られて動かず、困った様子を見て駆け寄ったのは、誰あろう前田と激突した鳴門渦潮の笹田。死力を尽くして戦った両チームの、思いやりにあふれた行動は美しかった。

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