鈴木誠也&上林誠知 レーザービームがチームのピンチを救う

[ 2017年7月25日 09:30 ]

6月23日、阪神戦で捕殺を決める鈴木
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 【宮入徹の記録の風景】外野手の補殺数は肩の強さ示すバロメーターになる。24日現在、広島の鈴木誠也外野手(22)は送球で走者をアウトにした補殺が8度。セ・リーグでは2位の中日・ゲレーロ(6補殺)に2差をつけ最も多い。パ・リーグはソフトバンクの上林誠知外野手(21)が最多の8度。こちらは2位のソフトバンク・柳田、ロッテ・角中(各5補殺)に3差と水をあけている。

 鈴木が1軍デビューした13年以降の外野補殺数は13年0、14年1、15年2、16年3。着実に数字を伸ばし今季は既に自己記録を大幅に更新中だ。中継の野手を挟まない直接送球による補殺もリーグ最多の4度と強肩ぶりに磨きがかかっている。5月28日の巨人戦では、3回に立岡の右翼線二塁打で本塁に突入した脇谷の生還を阻止。チームの3―2の逆転勝利に守備面で貢献した。

 一方の上林は1軍に初出場した15年は外野手として13試合、16年は6試合守ったが両シーズンとも補殺は0。2リーグ制後、前年まで補殺のなかった外野手(外国人選手を除く)がリーグ最多補殺を記録したのは、53年国鉄・町田行彦(14補殺)、65年東京・井石礼司(15補殺=新人)、67年広島・苑田敏彦(9補殺)、98年巨人・高橋由伸(12補殺=新人)とわずか4人。ソフトバンクでは前身球団を含め1人もおらず、上林が1位をキープすればチーム初めてになる。

 肩の強さだけでなく、2人はフライを捕球した際に記録される刺殺も多い。鈴木は今季セの右翼手では最多の166刺殺。上林も同様に109刺殺でパの右翼手最多と守備範囲の広さも見逃せない。くしくも2人の背番号は51。右翼手で背番号51といえばイチローの名前がすぐに浮かぶが、マリナーズ時代には超人的な守備範囲を評して「エリア51」と呼ばれた。今後、2人がそれぞれの「エリア51」をどう築き上げていくか楽しみだ。

 話はそれるが、右翼手が右前安打かと思われる打球を一塁に送球しアウトにする右翼ゴロは見せ場のひとつ。今季は1度だけあって、7月9日に西武の外崎が楽天戦の8回にウィーラーを右翼ゴロに仕留めた。昨年は4月7日に阪神の福留が巨人戦の3回に投手の平良(現DeNA)を右翼ゴロに。平良にとって1軍公式戦で初めての打席だったがアウトにされ、プロ初打席初安打が帳消しになった。

 戦前では、38年秋にプロ野球初の三冠王に輝いた巨人の中島治康が右翼ゴロのオーソリティー。36年11月8日のセネタース戦(上井草)で5回に野口明を右翼ゴロに仕留め、こちらもプロ野球第1号になっている。43年5月10日の南海戦では2回に猪子利男、7回には長谷川善三と1試合で2度も右翼ゴロを完成させる離れ業を見せた。スキあらば鈴木と上林にも右翼ゴロを狙ってもらいたい。 (専門委員)

 ◆宮入 徹(みやいり・とおる)1958年、東京都生まれ。同志社大卒。スポニチ入社以来、プロ野球記録担当一筋。94年から15年まで記録課長。本社制定の最優秀バッテリー賞の選考委員会には、1回目の91年から26回連続で資料説明役として出席。

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