稲葉氏 侍次期監督有力候補に浮上 今月末最終決定へ

[ 2017年7月11日 06:30 ]

東京五輪金へ侍ジャパン次期監督候補に浮上していることが分かった稲葉氏
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 2020年東京五輪で金メダル獲得を目指す侍ジャパンの次期監督の有力候補に、3月のWBCで日本代表の打撃コーチを務めた稲葉篤紀氏(44)が浮上していることが10日、分かった。現在、侍ジャパン強化委員会による交渉作業などが進められており、前巨人監督の原辰徳氏(58)、日本ハムの栗山英樹監督(56)らを含めた候補の中から7月中に最終決定される。

 侍ジャパンを率いる指揮官の世代交代を求める声は、今年4月以降に行った歴代監督へのヒアリングでも出ていた。侍ジャパン強化委員会の井原敦委員長(NPB事務局長)は、これまで「プロ野球の監督経験があった方がいいという一方で、世代交代も必要」との考えを示していたが、44歳の稲葉氏の「若さ」は新生・侍ジャパンをアピールする上でもかっこうの材料になる。

 14年限りで現役を引退した稲葉氏は、選手として08年北京五輪、09、13年WBCに出場。その豊富な国際経験に裏打ちされた指導力を高く評価されている。選手時代の13年秋からは侍ジャパン打撃コーチを務め、小久保裕紀監督(45)を支えるなど手腕を発揮。日本ハム球団の後輩に当たる主砲・中田ら、選手に寄り添ったアドバイスを送り続けた。「稲葉ジャンプ」に代表されるように、今でも日本ハムファンに愛される明るく誠実な人柄と、何より野球への熱心な姿勢は誰もが認めるところだ。

 監督人事を一任されている侍ジャパン強化委員会では、6月7日の会合で監督候補との交渉を本格化させることを確認。11月16〜19日には東京ドームで日本、韓国、台湾による「アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」の開催が決定しており、約4カ月後には新監督の初陣が控える。その大会から逆算する意味も含めて7月末が決定のめどとされ、交渉作業は最終段階に入っているといっていい。

 他の候補には原辰徳氏、日本ハムの指揮官である栗山英樹監督、一昨年までDeNAを率いた中畑清氏(スポニチ本紙評論家)らがいる。原氏は09年WBCで代表監督としてチームを世界一に導き、巨人監督12年でリーグ優勝7度、日本一3度の実績を誇る。栗山監督は昨季、日本ハムで日本一に輝いた経験とともに、現役監督として若手とともにグラウンドで戦っている強みがある。さまざまなタイプの指導者のうち、誰に金メダルを懸けた戦いを託すのか。決定の時は確実に迫っている。

 ◆稲葉 篤紀(いなば・あつのり)1972年(昭47)8月3日、愛知県生まれの44歳。中京(現中京大中京)3年夏の愛知大会決勝でイチロー擁する愛工大名電に敗れ甲子園出場ならず。法大では主将を務めた。94年ドラフト3位でヤクルト入り。04年オフに日本ハムに移籍。日本代表として08年北京五輪、09、13年のWBCに出場。14年に現役引退し、日本ハムのスポーツ・コミュニティー・オフィサー(SCO)に就任した。通算2213試合で、2167安打、1050打点、261本塁打、打率.286で首位打者、最多安打1度。1メートル85、94キロ。左投げ左打ち。

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