コリジョンルール導入で死語に?減少する「ギャンブルスタート」

[ 2017年6月28日 10:10 ]

11日のDeNA戦の4回1死三塁、秋山の二ゴロで生還する西武・金子侑。捕手・戸柱
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 「ギャンブルスタート」は死語となるのか。気になるプレーがあった。6月11日の西武―DeNA戦。西武が、4回1死三塁から秋山の二ゴロの間に三塁走者・金子侑が生還して1―0で勝利した。

 前進守備を敷くDeNA内野陣に対し、西武ベンチのサインは「ゴロゴー」だった。秋山の高いバウンドは二塁手の前にいったが、指示通り抜群のスタートを切った俊足・金子侑が頭からファウルゾーン寄りに滑り込み、左手でホームベースの左隅を触っていた。

 「ゴロゴー」は「ゴロなら本塁突入のサイン」。それに対して、よりリスクを高めスタートを早める「打者がインパクトした瞬間にスタート」の「ギャンブルスタート」がある。打球がライナーの場合、走者が飛び出しての併殺の危険性が高まるが、どうしても1点が欲しい場面の選択肢だ。

 西武の橋上野手総合コーチは「走者にもよるが、ギャンブルスタートとゴロゴーでは、突入が1メートル以上違うこともあると思う」と話す。その上でDeNA戦のケースは「金子の足も考え、ゴロゴーで十分だと思った」と言う。背景にあるのは昨年からの本塁上のコリジョン(衝突)ルール導入。「コリジョンでは追いタッチになることが多いし、ギャンブルスタートは減るのかもしれませんね。リスクを背負い無理する必要がなくなる」と続けた。

 ギャンブルスタートは、92年日本シリーズで西武に敗れた野村ヤクルトが、鉄壁の西武内野陣を攻略するために編み出し、プロ野球界に浸透した。特に「飛ばない」統一球が導入された11、12年は本塁打が激減し1点を争う投手戦が増えたため、原巨人など多くのチームが多用した。

 三塁走者の突入のサインは、プロ野球と違い投手のレベルが落ち、高いバウンドが打ちやすい軟式野球では、ギャンブルスタートよりさらにリスクの高い「スイングゴー」や「走者三塁でのヒットエンドラン」なども存在する。ようは環境に照らし合わせ、リスクとリターンを計る。

 コリジョンルール導入から1シーズン以上が経過し、データや実例もストックされてきた。まだギャンブルスタートを仕掛けるケースも見られるが、その絶対数が減っていくのは自然の流れかもしれない。(記者コラム・後藤 茂樹)

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2017年6月28日のニュース