西武ドラ3源田を走攻守で分析 56年ぶり新人フルイニング出場なるか

[ 2017年6月6日 11:00 ]

西武の源田
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 西武のドラフト3位・源田壮亮内野手(24)が走攻守で存在感を発揮している。ここ数年レギュラー不在だった遊撃のポジションを1年目からつかみ、51試合でフルイニング出場。新人でフルイニング出場を達成すれば1961年徳武(国鉄)以来4人目、遊撃では初の快挙だ。走攻守で活躍の要因を分析すると、習得した技術を実戦で生かす能力の高さが浮かび上がった。(構成・平尾 類)

 ■走塁

 両リーグトップの16盗塁。50メートル5秒8を誇る快足だが、意外なことにトヨタ自動車では盗塁数が少なかった。指導する佐藤外野守備走塁コーチは13〜15年に東海地区担当のスカウトを務め、愛知学院大、トヨタ自動車と源田を追いかけていた。「足は速いし、素材は間違いなくいい。でも、修正しなければいけない部分が多かった。走ることへの意識から変えないと、盗塁はできないと本人に話した」と振り返る。

 リード幅はプロでトップクラスの3・5メートル。アマチュア時代は一定ではなかったが、目を閉じても同じリードを取れるように、春季キャンプから何度も練習して体に叩き込んだ。「友亮さん(佐藤コーチ)にはずっと見ていただいていたので、言葉がスッと頭に入る」。リード時の重心もスタートが切りやすいように、つまさきに比重を置くことを強く意識。走る時に頭がブレる癖も矯正した。相手投手のけん制やクイックも研究し、リード幅を微調整する。

 のみ込みが早いのが源田の凄み。走塁のイロハを勉強し、盗塁成功率も89%と高い。まだ走塁技術は発展途上で伸びしろは大きい。

 ≪16盗塁はリーグトップ≫16盗塁は2位・西川(日)に3差をつけリーグトップ。過去に新人の盗塁王は両リーグ合わせても新人王とダブル受賞になった01年赤星(神)だけ。また、新人の最多盗塁数は97年小坂(ロ)の56個。チーム記録は53年豊田(当時西鉄)、81年石毛の25個となっている。

 ■打撃

 一番の課題は打撃だった。トヨタ自動車時代の打順は9番が定位置。プロで通用しないという評価もあったほどだ。それでも、シーズンが始まるとコンスタントに打ち続けて打率・291(5日現在リーグ13位)。2番に定着している。劇的な変化の背景には、辻監督の助言があった。

 愛知学院大時代は引っ張った打球が多かったが、社会人では俊足を生かすために「逆方向に打てということでやっていたら、引っ張れなくなった」という。当てにいく走り打ちで打球も弱い。春季キャンプ時に指揮官から「下半身を意識して思いきり引っ張ってみろ」と指導され、フリー打撃から目いっぱいの力で連日振り続けた。

 創意工夫も怠らない。振り抜きを良くするため、バットの先端をくり抜いた形状に変更。バットのヘッドが走るようになった。元々ミート力は高い。鋭くなったスイングで打球が速くなり、三塁打はリーグトップの5。詰まった打球でも、俊足で内野安打を稼ぐ。「打率は全然気にしていない。犠打、進塁打も大事」。黒子に徹する意識は変わらない。

 ≪21世紀初の3割ルーキーとなれるか≫現在の安打数60はリーグ6位でトップの浅村(西)と10本差。新人が最多安打のタイトルを獲得すれば、56年佐々木(高橋)、58年長嶋(巨)以来59年ぶり3人目となる。また、新人の3割打者は98年坪井(神、・327)、高橋(巨、・300)が最後、源田が21世紀初の3割ルーキーとなれるか。

 ■守備

 社会人No・1遊撃手と評価が高かったのが守備力だ。俊足を生かした守備範囲に加え、グラブさばき、送球も安定。西武に入団し、ゴールデングラブ賞8度の辻監督、同2度の馬場内野守備走塁コーチという名手だった指導者に巡り合えたことで、技術を磨いている。

 小刻みにステップするのではなく、大きい歩幅で最短距離でゴロに合わせるように指導されて実践。さらに守備範囲が広がり、球際への強さがレベルアップし「今まで守備で教えられたことがなかったから、凄く勉強になった」と感謝する。馬場コーチも「教えられたことののみ込みが早い」と評価する。

 身体能力がずばぬけて高いわけではない。「股関節は硬いし、肩も強くない。送球がシンカー気味に落ちるんで」と苦笑いする。弱点をカバーするため基本に忠実に。理想は現役時代に守備の名手として活躍した小坂巨人2軍内野守備走塁コーチ。好プレーをまとめた動画を繰り返し見て勉強しており「難しい打球も難しく見えない。足も凄く動いている。僕はまだまだ」とレベルアップを図る。

 ≪GG賞なら01年赤星(神)以来16年ぶり≫ゴールデングラブ賞を獲得した新人は過去9人いる。源田が受賞すれば01年赤星(神)以来16年ぶりとなる。遊撃手に限れば79年高代(日)、81年石毛(西)、88年立浪(中)の3人しかいない。西武の新人では石毛、99年松坂に次いで3人目。

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