虎ブルペン支える“謎多き右腕”桑原に7つの質問

[ 2017年6月6日 09:20 ]

「古巣斬り任せろ」とポーズをとる桑原
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 これだけ好投しているのに意外と知られていないのが阪神・桑原謙太郎投手(31)だ。謙虚で、恥ずかしがり屋でもあり、取材でもなかなか情報が出てこない。6日からの古巣オリックスとの関西ダービーを前にスポニチ本紙が直撃。3勝1敗11ホールドを挙げるなど猛虎のブルペンを支える右腕の知られざる素顔に迫った。

 <1 好調の秘訣>

 「コントロールがある程度安定していて、自分優位なカウントをつくれてきた。結果が出ている一番のポイントかな、と思う」

 ――右打者の外角への制球が安定している。

 「失投があっても、インコースのボール球とか。手を出してこないことがあって、結構助かっています。真ん中でなくて、インコースまで抜けて行ってくれるので」

 ――四球も少ない。

 「ゾーンで勝負して、ゴロだったり、フライだったり。右(打者)をさせる投手だと自分では思っているので。早いカウントで勝負できているのが、四球の少ない要因ですかね」

 ――カットボールや真っスラがあるので、直球やスライダーも生きる。

 「真っすぐが、そこそこ走っていて、良い形で投げているので、スライダーが効いているのかな、と。真っすぐでファウルだったり、差し込めているのが、(スライダーが)効いている要因と思う」

 ――スライダーは昔から曲がっていた?

 「曲がっていたんじゃないですか? 最近、よく曲がっている感じとかは、特にないですね。一番はコントロールが安定している」

 ――取り組みの成果が出ている。

 「去年の終盤から、調子自体は悪くなかった。そのときもコントロールは悪くなかった。その延長線上で、キャンプでもできていたのが、安定している要因かもしれない」

 <2 野球人生で影響を受けたこと>

 「お世話になった先輩は大勢いますが、一番は木塚(※1)さんですね。『右投手は腕振れなくなったら終わりだ』と。話を聞いてから、ずっと頭には置いているようにしている。入団したころに聞いた話で。確かにそうだな、と思って。それだけは今も頭に入れています」

 ――トレードを2回経験した。

 「いろんな球団を見られて、いろんな経験をできている。プラスになっていると思う。セ・リーグ、パ・リーグ、イースタン、ウエスタン。全て経験したので」

 ――セ、パの違いは大きい?

 「そうですね、やっぱりDHがあるので。変わってきますね」

 <3 実は金本キラー?>

 ――新人だった08年には8月16日の阪神戦で完封勝利を挙げた。

 「10安打ぐらいされての完封でした(実際は7安打)。完全に抑えた、という感じではなかったです。無死三塁とかもあったり。それでもランナーを還さなかったので、運が良かったのかな、と」

 ――金本監督が現役時代を振り返って打ちづらかった、と話している(※2)。

 「当時は分からないですが、『打ちづらかった』という話は今年、金本監督からしてもらいました。オープン戦中ぐらいの話です。自信とまではいかないですが、そうなんだとは思いました」

 <4 交友関係>

 ――オリックス時代の友人。

 「だいぶ変わってしまいましたけど、歳の近かった小林賢司、伊原、古川、佐藤達、海田あたりとは仲良くしてもらいました」

 ――普段はどんな話を。

 「野球とそれ以外と、半々ぐらい、ですかね。ご飯にいったりしたら、少し野球の話をしますが、基本は雑談で。オリックス時代はファーム暮らしが多くて、結果出せなかった苦しい思い出の方が多いですけど、チームメートがすごい良いイメージがある。先輩、後輩、よくして頂いたので」

 ――お世話になった先輩は。

 「木塚さんは1軍にいることが多くて、ぼくがファーム暮らしが長かったので、その頃はあまり接点がなくて。横浜の時は牛田さん、高宮さんとか。高宮さんとは縁がありますね。オリックスでは今、打撃投手をしている小島さんとか。今でも、ご飯にいったりします」

 ――ニックネーム。

 「クワさん。オリックスのときもそうですね。横浜のときだけ『オッパッピー』(※3)です。横浜のときだけですが、高宮さんには今もですね。高宮さんとはずっと一緒です。2年離れただけですが、ウエスタンとかで会うことも多かったですし、縁があります」

 <5 マウンドで>

 ――対戦した打者で難敵だったのは?

 「1軍の打者は多々、そうですね。相性が悪いと、ずっと打たれる感じします。ただ、僕は1軍経験が多くないので。そこまで、滅多打ちにされているのは分からないですが。(今はクリーンアップを迎えると出て行くことが多く)まあまあ、困りますけどね(笑)」

 ――修羅場でも抑えてメンタルが強い印象。

 「与えてもらったポジションを、こなしているだけです。必死に1人1人抑えているだけで、メンタルは強くはないですよ。まあ、勝負するしかないですから。四球出すのはダメだし、打たれるのは、自分の実力不足だから仕方ない。覚悟を決めていくしかないので」

 ――表情に出ない。

 「テンパっているのはありますよ。基本、ドキドキはずっとしています。ただ、あの場に立ったら、あとは覚悟決めて投げるだけです」

 ――ルーティンは。

 「多少は。トレーナー室にある微弱電流を当ててもらったり、決まった回にストレッチするとか。ずっとやってきたものを今もやっています」

 <6 意外な?趣味>

 ――趣味。

 「釣りもしないですからね。特にないですね。唯一は漫画ぐらいですかね」

 ――青柳と趣味が合うのでは?

 「読む漫画のジャンルが違うので(笑)。はまったのは…無難にH2(※4)とかです」

 ――好きな食べ物。

 「オムライス、焼きそば」

 ――好きな音楽。

 「最近聞かないでの、正直、全然分かりません」

 ――好きなテレビ番組。

 「世界の果てまでイッテQ!。毎週見てます」

 <7 私生活>

 ――休日は家で体を休める。

 「元々、面倒くさがり屋で、家からあんまり出ないんです」

 ――今はそれだけ疲れてもいる。

 「まあ、疲れはします。でも、充実感もあります」

 ――昨年3月に結婚して家庭が癒やしの場に。

 「家では野球の話はしないので、助かっている部分はあります」

 ――外でサインを求められることも増えたのでは?

 「そうでもないですよ。歩いていても、指さされるとか、ないですし。全く変わりないです。まあ、そんなに外に出ないのでね(笑)」

 ※1 木塚敦志・現DeNA1軍投手コーチ。00年に横浜入団。桑原とは現役引退の10年までチームメートで、桑原は同年オフにオリックスへトレード移籍。

 ※2 通算対戦成績は7打席で7打数2安打、打点なしの被打率・286。長打はなく、アウトはすべて凡打で取った。

 ※3 顔が似ていると言われるお笑い芸人・小島よしおの代表的ギャグ。

 ※4 「タッチ」などで知られるあだち充氏の高校野球漫画。週刊少年サンデー(小学館)に92年から99年まで連載。テレビアニメ、ドラマ化もされた。

 ≪「前年登板ゼロ→30ホールド到達」の期待≫桑原にはプロ野球史上初の「前年登板ゼロ→30ホールド到達」の期待が高まってきた。開幕から必勝継投の一翼を担い、3勝1敗11ホールドで防御率1・13。シーズン換算なら30ホールドのペースだ。ホールド(3点差以内で登板してリードを保つ、もしくは、同点状態を保つ)が採用された05年以降、シーズン30ホールド以上は42人が60度記録。入団1年目に記録した8人を除き、前年1軍未登板の投手が達成した事例は過去にない。

 登板25試合はチーム内では守護神ドリスの26試合に次ぎ、マテオと並ぶ中継ぎ陣最多。イニング途中からの登板は14度を数え、うち13度は前任投手の走者を背負う登板で難しい状況を任されてきた。自身の失点は3月31日広島戦、4月4日ヤクルト戦、5月24日巨人戦の3試合で各1失点のみ。しっかりリードを守り、バトンを渡している証拠だ。(記録担当・桐山章)

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