石巻専大1年松沢 勇気の完投 昨年大火の地元・糸魚川に、石巻に

[ 2017年6月6日 05:30 ]

全日本大学野球選手権第1日・1回戦   石巻専大6―1共栄大 ( 2017年6月5日    東京ドーム )

<共栄大・石巻専大>8回、生還した小野(左)を迎える石巻専大・松沢
Photo By スポニチ

 神宮球場と東京ドームで開幕し、1回戦が行われた。8年ぶり出場の石巻専大は松沢寛人投手(1年)が1失点完投。共栄大を下し06年以来の全国2勝目を挙げた。岡山商大は近大を相手に今秋ドラフト候補の近藤弘樹投手(4年)が2失点完投勝利。東洋大は初戦で姿を消した。

 124球目で最後の打者を二ゴロに抑えると、松沢の顔から笑みがこぼれた。右横手から自己最速を1キロ更新する最速147キロの直球を繰り出し、1失点で完投勝利。1年生が石巻専大に11年ぶりの白星を運んだ。

 「勝ててうれしい。初回に失点したが、後ろに先輩たちがいる。どんどん腕を振ろうと思った」

 出身は新潟県糸魚川市。糸魚川高3年だった昨年は速球派として県で注目された。大学での再スタートへ、準備を進める12月。同市が大火に見舞われた。

 近しい人たちに被害はなかったものの、小さい頃に道具を買った思い出のスポーツ用品店が全焼した。直後に進学で故郷を離れたが「後輩たちも頑張っている」と力に変えた。

 教員になる夢と野球を両立できるとして進学先に選んだ石巻専大がある宮城県石巻市は、東日本大震災で大きな被害が出た。「どちらも被災地。元気でやっている姿を見せられればと思った」。今春のリーグ戦ではチーム2位の4勝を挙げて自身初の全国大会出場。当時の恩師らも球場に駆けつけ「凄く興奮して高ぶった」と、9奪三振と堂々の投球を見せた。

 酒井健志監督は「サイドから強い球を投げられる。自信をつけてくれたら」と期待。6日の2回戦・岐阜経大戦で同校初の16強入りを目指す。 (松井 いつき)

 ◆松沢 寛人(まつざわ・ひろと)1999年(平11)1月30日、新潟県糸魚川市生まれの18歳。小1から野球を始める。糸魚川高では2年春からベンチ入りし、2年秋からエース。3年夏は新潟大会16強。1メートル74、76キロ。右投げ右打ち。

続きを表示

2017年6月6日のニュース