和歌山大50年秋加盟以降初V 15連覇中の奈良学園大止めた

[ 2017年5月18日 05:30 ]

近畿学生野球連盟 第5節2回戦   和歌山大4―0奈良学園大 ( 2017年5月17日    南港中央 )

<奈良学園大・和歌山大>リーグ初優勝を決め胴上げされる和歌山大・大原監督
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 絶対王者を倒した。和歌山県下唯一の国立大である和歌山大が奈良学園大に2連勝して勝ち点を4に伸ばし、1950年秋の連盟加盟以来、初優勝を飾った。先発右腕の貴志弘顕投手(2年=桐蔭)が7回を3安打無失点。左腕・野山純一投手(3年=鳥取西)とのリレーで零封し、09年秋から15連覇中だった奈良学園大を止めた。国立大の優勝は09年春の大教大以来。和歌山大は6月5日に開幕する全日本大学野球選手権(神宮など)に初出場する。

 最後の打者を空振り三振に仕留めると、捕手の真鍋雄己主将(4年=高川学園)は我を忘れてウイニングボールを球審に手渡し、少しだけ遅れて歓喜の輪へ加わった。部員に促され、大原弘監督(51)は4度宙に舞った。絶対王者に連勝してつかんだ初戴冠。3部降格後の08年に就任した指揮官は「まさか、3部からスタートしたチームが頂点に立つなんて」と声を震わせた。

 2回2死二塁から土田佳武外野手(1年=山梨学院)の中前打で先制。3回は四球に犠打野選が絡んで1死二、三塁とすると、真鍋の二ゴロの間に1点を加えた。「スクイズかと思ったけど“あ・うん”の呼吸で真鍋に任せた」と指揮官。ノーサインだったが『考える野球』を掲げる主将は泥臭く二塁へ転がし「あれこそ、僕たちの野球です」と胸を張った。

 9回は左邪飛で一塁走者と二塁走者がともに進塁。直後の敵失で二者が生還する、そつのない試合運びこそ『考える野球』の真骨頂だ。真鍋は2年秋から主将に就いた。大原監督の考えを最も体現できる男として、最上級生となる今春を見越した大抜テキだった。

 練習は週に4回。2回はアメフット部とグラウンドを共有する。「国公立だから不便だとか、私学だから恵まれているとか比べたことはない」と真鍋。不足分は昨年から導入した早朝練習や授業の合間を利用した個人練習で補う。真鍋は小4の時、父の赴任先のタイ・バンコクで野球を始めた変わり種。今も週に4回、焼き肉チェーン店でアルバイトに励み、悩みは「なかなか就活できないこと」と笑った。

 1924年創部で50年秋に加盟。2部、3部降格を乗り越え、12年秋に1部へ復帰した。昨秋65年ぶりの2位に躍進するなど一歩ずつ力をつけてきた。「和歌山で唯一の(硬式の)大学野球部。小中高の模範になるような野球部を」。指揮官の夢は大きく広がる。大学選手権の初戦(2回戦)は近大と岡山商科大の勝者と激突する。「食らいついて食らいついてやっていく」と先をにらんだ。(吉仲 博幸)

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