ファンサービス?前打者敬遠で清宮勝負に本人ぶ然「感じるところある」

[ 2017年5月15日 06:30 ]

RKK招待野球大会   早実1―5秀岳館 ( 2017年5月14日    藤崎台県営 )

<早実・秀岳館>9回2死、早実・雪山が敬遠され、次打者・清宮がぶ然とした表情で打席へ向かう
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 高校通算93本塁打の早実・清宮幸太郎内野手(3年)が14日、熊本市で行われたRKK招待野球大会の秀岳館戦に「3番・一塁」で先発出場。9回2死走者なしから2番・雪山幹太捕手(2年)が敬遠で歩かされ、自身との勝負を選択される前代未聞の体験をした。一ゴロに打ち取られて最後の打者となり、3打数1安打で94号はお預けとなった。

 9回2死走者なし。次打者席で待つ清宮の目の前で信じられない光景が起きた。強打者の宿命ともいえる敬遠。だが、この日は自身の前の打者が敬遠されたのだ。

 2番・雪山を迎えた場面。先発した秀岳館の最速148キロ左腕・川端が、鍛治舎巧監督の指示を受け背番号1の最速144キロ左腕・田浦に伝令に走り「清宮に回せ。(雪山は)歩かせて次で堂々と勝負しろ」と伝えた。

 捕手の橋口が立ち上がり、雪山にボール球を続けた。場内には指笛が鳴り響き、清宮の打席を期待する大きな拍手が湧き起こった。そして敬遠で清宮に打席が回ると、本塁打を期待する7000人の観衆がこの日一番の盛り上がりを見せた。その中で清宮は複雑な表情を浮かべて打席に向かい、捕手の橋口に「ベンチの指示?」と聞いたほど。騒然とする中での最終打席は直球を「打ち損じた」と一ゴロ。最後の打者となった。試合後は「いろいろと感じるところはある」と話す表情は悔しさでいっぱいだった。

 早大出身の鍛治舎監督は「早実は(夏の)甲子園で当たるかもしれない相手。川端は対戦したけど、(3番手の)田浦は対戦していなかった。勝負させてあげたかった」と説明。試合後に早実・和泉実監督にも事情を話した鍛治舎監督は「熊本のファンも清宮君を見るのは初めて。真剣勝負をね」と続けた。パフォーマンスで行ったわけではないが「批判もあるかもしれない。公式戦では絶対にしない」と話した。清宮の存在の大きさが引き起こした一幕だった。

 清宮は3回に川端の141キロ直球を捉え、右前打。だが、チームは3安打、内野ゴロの間に挙げた1点に抑えられた。「どの投手も一級品。次、やれたらいいと思う。バットは振れている。当たったら飛ぶと思う」。昨年春から3季連続で甲子園ベスト4の秀岳館と真剣勝負できる場は、残るは甲子園だけ。主将としてチームを聖地に導き、悔しさを晴らす。 (東尾 洋樹)

 ▼秀岳館・田浦 体が大きくてオーラがあった。対戦したいと思っていたけど、(清宮を)見たら、ちょっと怒っていた。でも、いい経験になりました。

 ▼早実・和泉実監督 (秀岳館の敬遠策については)まあ、(その話は)いいんじゃない。参りました。全国トップレベルの投手とやる機会がなかったのでよかった。

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