潮崎2軍監督の一喝が転機に 西武・佐野 先発では3年目初白星

[ 2017年5月14日 05:30 ]

パ・リーグ   オリックス2―8西武 ( 2017年5月13日    京セラドーム )

<オ・西>先発で初白星を挙げ、ウイニングボールを手にする佐野
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 クリッとした大きな目ではにかんだ。今季初登板で先発に抜てきされた左腕、西武・佐野が5回1失点と粘投。昨季は救援でプロ初勝利を手にしたが、先発では3年目で初白星だ。「打者と勝負できた。先輩方が点を取ってくれたので楽に投げられた」と感謝した。

 3週間前はどん底だった。4月20日のイースタン・リーグ、ロッテ戦(ロッテ浦和)で2回2/3を11失点KO。「大卒3年目で今の置かれた状況を考えなければいけない」。潮崎2軍監督の一喝で目が覚めた。5月7日の日本ハム戦(鎌ケ谷)で5回無失点と結果を残し1軍先発を勝ち取った。

 この日も窮地で踏ん張った。1点を取られ、3―1と詰め寄られた4回無死一、二塁でT―岡田をフォーク、安達をチェンジアップで連続三振。若月を142キロ直球で遊ゴロに仕留めた。オリックスに連勝で借金完済し、3位タイに浮上した辻監督は「試合をつくった ね」と合格点を与えた。

 1月31日に長女が誕生。春季キャンプ休日に帰京して対面した。宮崎・南郷にとんぼ返りしたため滞在時間はわずかだったが、「凄く可愛くて。メチャメチャ力をもらった」と目を輝かせた。

 同じ左腕で尊敬する菊池への恩返しにもなった。昨オフに沖縄で菊池と自主トレを行ったメンバーは、多和田が右肩の違和感で戦線離脱。国場、本田、佐藤は開幕から2軍暮らし。前夜に4勝目を挙げた菊池から「菊池組が(1軍に)1人しかいなくなった。投げ抹消になるなよ。頼むぜ」と気合を注入された。

 タイ生まれ、埼玉育ち。佐野の名前「泰雄」は母の祖国「タイ(泰)」と英雄を組み合わせて名付けられた。「プロとして第一歩。もっとチームの勝利に貢献したい」。先発陣に不可欠な存在を目指す。 (平尾 類)

 ◆佐野 泰雄(さの・やすお)1993年(平5)1月18日、タイ生まれの24歳。タイ人の母と日本人の父を持ち、2歳までバンコクで育つ。和光(埼玉)では甲子園出場なし。平成国際大4年春に7勝、秋の決勝リーグ3勝で2季連続の最多勝、ベストナイン。関甲新リーグ記録の通算30勝を挙げた。14年ドラフト2位で西武入り。昨年6月3日の阪神戦(甲子園)でプロ初勝利。1メートル77、83キロ。左投げ左打ち。

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