防御率10点台…悩める東大・宮台 本人が語る復活へのキーワードは

[ 2017年5月8日 11:10 ]

4月30日の早大戦の7回、早大・加藤に満塁弾を浴びた東大・宮台
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 東大・宮台が苦しんでいる。昨夏は大学日本代表入りして赤門史上2人目の日の丸戦士として一躍脚光を浴びたが、秋は左肩痛に悩まされて戦線離脱した。冬場に急ピッチで体を作り直したが7日終了時点で白星なし。立大とのカードでは2戦連続で登板を回避した。

 冬場、浜田一志監督をはじめ、メディカル系スタッフらを交えて「宮台復活委員会」を立ち上げ、大分でメディカル合宿を行うなど様々なことに取り組んだ。左肩が痛くならないようなフォームに改造。しかし、制球が思うようにならないのが現状だ。今季は5試合で0勝3敗、29四死球。防御率は10・50で、浜田監督は「体のバランスを崩している」と説明する。

 今は宮台にとって、何事も財産になる時なのでないかと思う。4月16日の慶大戦で宮台は連投。その前の投球に比べると幾分か良くなったように見えた。その時、印象に残った一言があった。「僕は器用じゃない。欲張らないこと。監督からできることを絞ってやっていこうと言われて、まずは良いボールを投げることだけを考えた。思い描いている投球じゃないけど、愚直にやるだけです」。決して本人は焦りを口にすることはなかったが、昨年、明大・柳(現中日)や桜美林大・佐々木(現ロッテ)に刺激を受けて夢見始めたプロ入りへ、山積する課題の前に苦悩の色を隠せない様子だった。そんな中で「欲張らない」ことに気づけただけでも、大きな財産になったのではないか。

 ネット裏で見守るスカウトは「春はボールを投げられることを確認できれば良い」とか「春にどんな成績だろうと、1位候補は変わらない」とまで断言する人もいた。宮台の魅力は左腕で151キロが投げられることはもちろん、野球以外の部分にも多くある。頭の回転が速く、理解力に長け、相手が何を聞きたいのかを瞬時に判断する。取材に対する答えも分かりやすく、理路整然としている。その上で努力を惜しまないからすごいのだ。合宿にも勉強道具を持ち込み、文系最難関と言われる法学部の勉強の両立に励んでいる。プロの世界は投げられなければ話にならないのは当然。しかし、それ以上に惹きつける何かを宮台は持っているように見える。

 運命のドラフトは10月。それまでには、秋のリーグ戦もあり、アピールの時間は十分ある。実際、同じ左腕のDeNA・今永は駒大4年の3月に肩を痛めた後、思うような成績を上げられなかったが、1位指名を受けた。これまでの数々のチャレンジもすべて経験値となったはずだ。「焦らない」ことも、今の宮台にとっては大事なのかもしれない。(記者コラム・松井 いつき)

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2017年5月8日のニュース