阪神・能見 6度目登板でやっと初勝利 初回満塁で天敵・新井斬り

[ 2017年5月8日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神6―0広島 ( 2017年5月7日    甲子園 )

<神・広>藤川(22)から笑顔でウイニングボールを受け取る能見(右から2人目)
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 信条の「粘り」で仕事を果たした。先発した阪神・能見は立ち上がりの窮地をしのぎ、5回2/3を5安打無失点で今季初勝利をつかんだ。「毎回同じことをやっているからね…」。ようやく迎えた“開幕”。37歳のベテランは反省交じりに最大のヤマ場を振り返った。

 初回、先頭の田中に左前打を浴び、1死から連続四球を与えて1死満塁とされ、打席に迎えたのは昨季15打数7安打の打率・467、2本塁打と苦手としてきた新井だった。もしも快音を許せば主導権を握られる場面でギアを上げた。3球で追い込み、最後は5球目のフォークで空振り三振。続くぺーニャもフォークで空を切らせ、今季イニング別で最多の5失点を喫していた“魔の初回”を乗り切り、リズムに乗った。

 「(変化球は)しっかり投げないと、高めにいけば打たれるからね」

 2回以降はスライダー、フォークを低めに集め、広島打線を翻弄(ほんろう)した。走者を背負っても動じないのが経験豊富な男の強み。6回無死一、二塁からは進塁を許さずに打者2人を打ち取り、桑原にバトンを託した。天敵・新井も2打席連続三振に退け、「良かったです」とリベンジにも成功した。

 6度目の登板で挙げた初勝利は家族にとっても待望だった。シーズン中に誕生日を迎える長男、長女の誕生日には当日に一番近い試合での勝利球をプレゼントするのが“父の流儀”。次男・竜成君(4)は1月3日生まれ。千江子夫人の発案で5月5日のこどもの日を“次男の日”としてきた。今年は開幕から白星に恵まれず、「それどころじゃないよ。自分のことで精いっぱいや」と苦笑いでも、きっちり愛息に最高の贈り物を届けるのが、頼れるパパのなせる業だ。

 日頃から「甲子園のファンの声援には勇気をもらうことが多い」と感謝する。大型連休最終日に詰めかけた多くの“味方”にも恩返しの快投を贈った。(遠藤 礼)

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2017年5月8日のニュース