運のない遊軍記者が見る今季 好調でも…1試合抑えることの難しさ痛感

[ 2017年5月5日 11:00 ]

4月30日の日本ハム戦でプロ初勝利の楽天・森原(右)はウイニングボールを手に梨田監督と握手
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 4勝12敗、勝率・250…。両リーグのどの球団よりも、勝率が低い状況だ。今季、遊軍の記者が担当したチームのここまでの成績。9連敗もあった。ただ、最近5試合は2勝3敗とやや回復傾向なので、負けても自分のせいではないので、各球団の関係者の方々は、球場でも嫌な顔をしないでください…。

 と、言いつつもまだ6敗しかしていない絶好調の楽天の4敗は記者の担当した試合。ただ、直近の試合は勝ちゲームなので楽天ファンの方はご安心ください。その試合は、4月30日の札幌ドーム。日本ハム戦で、ルーキー森原がプロ初勝利を挙げた試合だった。

 この日の先発は岸。腰痛での登板回避からの復帰登板。抜群の立ち上がりで5回まで3安打で毎回の7奪三振、得点圏の走者は一度とほぼ完ぺきだった。打線が4回に今江の左中間二塁打で先制。最少リードとはいえ、岸の投球内容と楽天救援陣の好調さを加味すれば、楽天勝利の可能性は高かった。

 だが、岸は7回にピンチを迎えた。1死一、三塁から大田に右前に運ばれ、同点とされた。打たれたのは104球目。低めのカーブで、大田の体勢を崩しながらも、いわゆる「飛んだところが悪かった」という内野手の頭を越えた打球だった。このカーブに、配球の難しさを改めて痛感させられた。

 岸はこの試合、序盤から直球、カーブを軸に、日本ハム打線を翻弄していた。5回まで投じたカーブのうちストライク、結果球になった球は10球。内訳は空振り、見逃しストライクがそれぞれ4球、バットに当たったのはファウルが1球と、田中の一ゴロの2球のみだった。

 ところが6回。先頭の西川がそのカーブを3球ファウルにした。6回にストライクになったカーブは4球。「5回まで全然、バットに当たらなかったカーブがファウルになったな…」とふと、思った。そして7回。先頭の中田が四球を選ぶまでにカーブを2球、ファウルした。これで6回以降、ストライクのカーブは6球中5球がバットに当たったのだ。1〜5回までのストライクのカーブがバットに当たった確率は「10球中2球」の・200で、6回と7回の同点打までは「6球中5球」で・833。バットに当たらなかった球種は、確実にバットに当たるようになっていた。

 大田にフルカウントから投じたカーブ。低めで体勢を崩し、フラッと上がった力ない小飛球、打ち取った打球が内野手と外野手の間に落ちた。決して不運ではなかったのだと思う。カーブ自体のキレが落ちたのか、日本ハム打線の各打者の対応がよくなったのかは、分からない。ただ、頼りにして効果を発揮していた球種の結果は、試合が進むにつれて明らかに変化していた。

 ヤンキースの田中が3年ぶりの完封勝利を挙げれば、巨人・菅野はセ・リーグでは28年ぶりの3試合連続完封勝利。完封続きの野球界だが、運のない記者は、好調な投手でも1試合を抑え切ることがいかに難しいか、改めて痛感したGWだったのである。(記者コラム・春川英樹)

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2017年5月5日のニュース