阪神・岩貞 序盤不安定も耐えた2勝 山中先輩との熊本対決に勝ち越し

[ 2017年5月4日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神8―4ヤクルト ( 2017年5月3日    神宮 )

<ヤ・神>初回1死一、三塁、バレンティン(手前)を三振に打ち取る岩貞
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 序盤の試練を乗り越えて白星をつかんだ。阪神・岩貞は粘りの投球で6回1失点と試合をつくり、2勝目を挙げた。

 「キャッチャーがうまく配球してくれた。(中盤以降は)軸になるボールをわかり合えた」

 初回は2安打と死球で2死満塁を招いて中村には押し出し四球。嫌な形で先制点を失っても心を落ち着け、続く荒木を二ゴロに仕留めた。71球を要した序盤3回を最少失点で乗り切り、中盤3回は約半分の35球で一人も走者を出さなかった。6回1失点の粘投で役割を果たした。

 熊本・必由館の先輩・山中との投げ合い。昨年2度あった直接対決を振り返れば、8月28日(甲子園)は山中の完投勝利で、同9月11日(神宮)は完封で雪辱して1勝1敗だった。ともに昨年4月に発生した熊本地震の悲劇を胸に刻みマウンドに上がり続け、昨年12月には復興支援の目的で2人が参加しての野球教室も開催。故郷に勇気を与える投手戦に「勝てて良かった」とうなずいた。

 4月18日の中日戦(ナゴヤドーム)で今季初勝利を挙げてから雨天中止を受けた先発ローテーション再編、さらには腰の張りも重なって14日間の間隔が空いた。結果を求められた重圧のかかるマウンドでも「背伸びすることなく自分の投球をしようと思った」と平常心で腕を振った。

 「背伸びしない」―。岩貞祐太という人間の芯となる言葉だ。昨季10勝で飛躍を遂げても“立ち位置”だけは見失わなかった。シーズン終了後に球団広報にイベントなどへの出演依頼を極力断ってもらうよう要望した。

 「勘違いしたくなかった。まだまだ自分はそんな選手じゃないし、できる限り、断ってもらいました。まだ1年しか1軍で投げていないので」

 真価を問われる4年目、開幕から思うような投球ができずにもどかしい思いを抱えてきた。本来の快投ではない。「きっかけ」になりそうな勝利を耐えてつかみ取った。(遠藤 礼)

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2017年5月4日のニュース