ソフトB・島袋は「左投げ右投げ」 最新機器で発見した新たな可能性

[ 2017年5月2日 10:30 ]

ソフトバンクの島袋
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 4月25日のスポニチ本紙に掲載された高性能弾道測定器「トラックマン」の特集にあたり、昨季、本拠地ヤフオクドームなど複数箇所に導入したソフトバンク関係者に取材をする機会があった。詳細は紙面でも触れているが「切れ」や「伸び」といったこれまで抽象的にしか表現できなかったものが数値となり、投手はスピードだけでなくリリースポイント、回転数、回転軸などで自分の調子をより把握しやすくなった。

 人の目では決して見つけることのできない「発見」もあった。プロ3年目の左腕・島袋洋奨投手(24)の回転軸。いわゆるボールの傾きだ。右投手と左投手では傾きは反対になるが、島袋の場合は「右投手」そのものだという。「言葉で表すとすれば“左投げ右投げ”みたいな感じですね。ヤンキースで活躍したマリアノ・リベラも、右投手でありながら左投手のような回転だったんですよ」と昨季まで2軍を指導した高村祐1軍投手コーチ(47)。メジャー記録の652セーブをマークした伝説のクローザーと同じ原理だという。

 島袋のように上から投げ下ろすタイプに見られる現象だというが、例えば長く「常識」と言われた「左対左」の投手有利説は、この場合、当てはまらなくなる。この「トラックマン」を設置する球団は増えており、データを元に「左殺し」の右投手が、ブルペンに控える作戦もありだろう。

 沖縄・興南3年だった2010年には「琉球トルネード」の異名で甲子園を席巻し、春夏連覇の偉業を成し遂げた。中大では制球難もあり、目立った活躍はできず、ドラフトでは5位と下位指名。1軍の登板は2試合で白星はない。ただ、この最新機器を使えば新たな可能性も見いだせるはずだ。投球の数値化による「長所」の発見で聖地を沸かせた男が復活――。いつか、そんなストーリーを書かせてほしい。(記者コラム・福浦 健太郎)

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2017年5月2日のニュース