快進撃のオリックス「勝つことで成長」 福良監督も確かな手応え

[ 2017年5月1日 10:30 ]

<オ・ソ(4)>勝利しタッチを交わす平野(中央)らオリックスナイン
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 勢いだけでは片付けられない。昨季はシーズン、オープン戦、交流戦、2軍全てで最下位という屈辱を喫したオリックスの快進撃。オープン戦では3位。開幕後1カ月を戦い、23試合で15勝8敗と2位に付けている。

 大黒柱だった糸井が阪神へFA移籍し、期待の2年目・吉田正が腰痛で開幕に間に合わず。さらに、主砲ロメロも左膝大腿骨の骨挫傷で離脱した。この状況下で、4月30日現在でチーム打率はリーグ2位の・266、19本塁打をマーク。先発陣もエース金子とディクソンがいずれも4勝0敗を誇り、チーム防御率は2・90とこちらもリーグ2位。4月26日からの西武3連戦では、いずれも1点差の試合を制する勝負強さも見せつけた。福良監督は、確かな手応えを感じている。

 「勝負どころで、きっちり犠牲フライを打てるようになった駿太とかね。成長しているよ。昨季までの駿太なら犠飛では納得しなかったと思う。“ヒットじゃなかった!”って悔しがったはず。でも犠飛で打点がついて、ベンチの良い反応があって。そういう野球の楽しみも分かり始めたかな」

 同時に、指揮官に求められる大仕事の一つでもある「現有戦力の育成」も進む。重大な役割の一端を担うのが、開幕から全23試合に出場するベテランの小谷野と中島だ。小谷野は打率・360、2本塁打、13打点、中島も打率・277、2本塁打、11打点と打線をけん引。そのプレーだけではなく、特に若手に対して、試合に臨む姿勢を含めた様々なアドバイスを贈る部分において、重要な両輪となっている。

 背景には、宮内オーナーも発信した「勝ち方を忘れたオリックス」との言葉通り、負の遺産を積み上げたチーム事情がある。阪急からオリックスに代わった89年から11年連続Aクラス。95、96年はリーグ連覇し、日本一にも輝いた。しかし、黄金期を知るイチロー(マーリンズ)が01年に、田口壮(現2軍監督)が02年にメジャー挑戦。93〜94年の現役時代、二塁手として連続守備機会無失策836の記録を持つ福良監督も97年に現役を引退。途絶えた「縦の関係」の修復に、ベテラン2人が一役買っている。

 福良監督は「(自分たちの後は)上がプツッと切れちゃったから。やっぱり我々が(選手個人に)言うより、選手が言う方が効き目があるからね。選手同士で教えるものだから。そういうのがなくなっていたから」。

 開幕3連敗以降、カード負け越しは2回だけ。福良監督は「勝つことで選手は成長していると思いますよ」。指揮官がオフから唱え続けてきた「勝ち癖」が、チームに着実に身につき始めている。(記者コラム・湯澤 涼)

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2017年5月1日のニュース