マーが“マダックス”になった!97球完封「これを続けないと意味ない」

[ 2017年4月29日 05:30 ]

ア・リーグ   ヤンキース3―0レッドソックス ( 2017年4月27日    ボストン )

完封勝利を成し遂げた田中将大は満面の笑みで捕手・オースティン・ロマイン(右)とタッチを交わし、ハグをする。
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 ヤンキースの田中将大投手(28)が27日(日本時間28日)、レッドソックス戦でメジャー3年ぶり2度目となる完封で今季3勝目を挙げた。強力打線を3安打無四球に封じ、注目されたメジャー屈指の左腕クリス・セール投手(28)との投手戦をわずか97球で制した。米国では「マダックス」と称される100球以内の完封劇で、宿敵レ軍を相手に5連勝。開幕から不振が続いたエースは完全復活を遂げた。

 捕手ロマインと抱き合うと、ようやく田中は笑みをこぼした。最後の打者ベニンテンディをシンカーで二ゴロに打ち取り、3年ぶりの完封勝利。最後に投じた97球目まで球を低めに集め続けた。

 「制球も安定していたので、ストライクゾーンで早いカウントから勝負できた。中盤以降は(完封の)意識はあった」

 敵地での伝統の一戦。試合前までリーグ1位のチーム打率・273だったレ軍打線を散発3安打に封じ、5回の打者2人目からは14者連続で抑えた。三振は3個ながら27アウト中、16個をゴロアウトで奪った。

 打たせる意識は「別になかった」と言うが、昨年9月15日の登板で7回で奪三振0。相手の早打ちをイメージしていた。「どんどん勝負してカウント有利に進められた」。開幕4試合で12四死球と苦しんだ制球を修正し、無四球で14年5月14日のメッツ戦以来となる完封。レ軍戦は15年以降負けなしの5連勝だ。

 25日が悪天候中止。これにより、登板予定が1日ずれて中7日のマウンドとなった。この日は最速94マイル(約151キロ)を計測したが、「ねじ伏せてない。ねじ伏せたのは向こう」と表現する。レ軍先発の左腕セールは今季ここまで防御率0・91。さらにヤ軍には通算10試合4勝1敗、過去100年間で50イニング以上投げた投手でトップの防御率1・17を誇っていた。

 この日も昨季17勝左腕は8回0/3で10奪三振。「9割がセールが勝つって、みんな思っていたんじゃないですか。それを覆したいなって思った」。今季登場曲は親交のあるアイドルグループ「ももいろクローバーZ」が歌う「何時(いつ)だって挑戦者」。田中は「こっちは期待されていないから向かっていくだけ」と挑戦者魂でぶつかった。

 米国では100球以内の完封は、「精密機械」と呼ばれた通算355勝右腕になぞらえて「マダックス」と呼ぶ。昨季はメジャー全体でも3度だけ。大リーグ公式サイトも「今季最初のマダックス」と大々的に報じた。ジョー・ジラルディ監督も「ボストンのこの球場で、この打線を完封するのは難しい」と絶賛したが、「これを続けないと意味がない。次が大事」と田中はすぐに表情を引き締めた。

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