早実・清宮「野球人生でなかった」9回同点弾で大興奮の初ガッツポーズ

[ 2017年4月28日 05:35 ]

高校野球春季東京都大会決勝   早実18―17日大三 ( 2017年4月27日    神宮 )

<早実・日大三>9回無死一、三塁、早実・清宮が中越え3ランを放ち、右拳を握る
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 18―17。高校野球の春季東京都大会決勝が27日に行われ、早実が延長12回サヨナラで日大三を破り35年ぶりに春の東京王者になった。前代未聞のナイター決勝にふさわしい、両校が計7本塁打36安打を打ち合う記録的打撃戦。清宮幸太郎内野手(3年)が8回に高校通算83号2ラン、9回には17―17の同点とする84号3ランを放ち勝利に導いた。

 異例のナイター決勝は筋書きのない死闘。離されても、離されても早実ナインは諦めなかった。午後10時を過ぎ、延長12回に早実の攻撃は鳴り物応援が禁止された。攻撃前の円陣で和泉実監督がナインとともに肩を組んで活を入れる。清宮いわく「最後の奥義」だ。1死満塁から1番・野田が中前にサヨナラ打を放つと、清宮はヒーローに向かって突進した。カクテル光線に照らされたナインの笑顔が映えた。

 「いや〜、疲れました。ここまでになるとは思わなかった。取っても取っても取られて…。思わず笑っちゃうくらいだった。本塁打も声援のおかげ」。昨秋の決勝と同じ2万人の大観衆に感謝したが、スタンドを魅了したのも清宮だった。

 「諦めるな。こんな点差は今までひっくり返してきただろ。間違いなく勝つのは俺たちだ」。主将としてナインに気合を入れ続けた。初回、いきなり4点を失う。6―4としたら逆転され、8回に自身が高校通算83号2ランを右翼席に叩き込んで13―10としても、9回に7点を取られた。13―17。「これはやばいなと思った」と敗戦も覚悟し、9回裏を迎えた。

 1点を返し、なお無死一、三塁。「(7回に)三振したスライダーを狙っていた」。外角高めのスライダーをすくい上げると、打球はバックスクリーン左へ一直線。「一発で仕留められてよかった」という2打席連続、通算84号は起死回生の同点3ラン。「野球人生でなかったけど、思わず出ちゃいました」。我を忘れてガッツポーズするほどの大興奮の一発だった。

 清宮の高校生離れした打球がナイトゲームに慣れない高校生ならではのプレーも生み出した。初回1死一塁から直球をフルスイングした打球はマウンド付近に高々と上がった。一塁・金成が声を出して捕球体勢に入ったが、ボールがなかなか落ちてこず暗闇から現れた打球を金成が捕り損ねてポトリ。投手の岡部がすぐさま拾って二塁転送(記録は投ゴロ)したが、珍プレーも呼び込んだ。

 3戦連発の活躍で、荒木大輔を擁した82年以来35年ぶりの秋春連覇に導いた。昨秋に続いて西東京のライバルに決勝でサヨナラ勝ちし「夏につながる。自信になる」。春の優勝校が担う、夏の東京大会開会式の選手宣誓役にも決まった。「宣誓は勝った瞬間に思いました」と、人生初の大役を想像し苦笑いした。 (東尾 洋樹)

 ≪大量得点アラカルト≫

 ☆高校野球 夏の甲子園では85年にPL学園が29―7で東海大山形を下した計36得点が最多。センバツは24年の市岡中21―13横浜商の計34得点が大会記録。

 ☆プロ野球 50年3月16日に西鉄が21―14で東急を下した計35得点が1試合のプロ野球記録。

 ☆大リーグ 1922年8月25日にカブスが26―23でフィリーズを下した計49得点が最多。両軍合わせて51安打。

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