楽天・戸村“準備15分”も今季初勝利 岸、緊急回避で代役先発

[ 2017年4月24日 08:05 ]

パ・リーグ   楽天2―1ソフトバンク ( 2017年4月23日    ヤフオクD )

<ソ・楽>岸に代わり緊急先発し勝利した戸村(左から4人目)は笑顔でナインとハイタッチ
Photo By スポニチ

 中継ぎでの出番に備えて、楽天の戸村は気持ちよくマッサージを受けていた。その時だった。与田投手コーチから驚きの指示が届く。「すぐに準備してくれ!」。時計を見ると、試合開始時間の約15分前。飛び起きて、ブルペンへと向かった。

 「最初は何を言われたか分からなかった。でも岸さんに何かあったのかなと思った。岸さんからは“ごめん”と、言われました。でも、正直、(急いで準備するため)それどころじゃなかった。相手のスタメンも確認していない状況だった」

 岸が試合前の投球練習で腰を痛めて先発を回避して、いきなり回ってきた出番。先攻だったため、マウンドに上がるのは初回裏。それが、唯一の救いだった。約30球で肩をつくり、今季初登板のマウンドに向かった。

 戸村が緊急登板の指示を受ける頃、梨田監督はメンバー表交換のために球審の下へ向かっていた。しかし、ベンチから呼び止められた。「与田コーチから“岸が腰に違和感がある”と話があった。そんな状態で行かせるわけにはいかないので、戸村でいくことになった」と振り返る、ドタバタの先発変更だった。

 それでも、29歳右腕は試練を乗り越えた。6回に先頭から2者連続四球を与えて“お役御免”となったが、5回0/3を4安打無失点に抑え、今季初勝利を挙げた。15年6月19日のロッテ戦(QVCマリン)では先発予定の辛島が背中に痛みを訴えて、代役を務め白星をつかんだこともある。ただ、その時は試合の約3時間前の変更。「前回より今回の方が直前だった。ただ、この状況の中で先発するなら僕しかいないと思っていた。何も考えずに投げたのが良かったのかな」。自身の役割を理解し、全うした。

 09年に立大からドラフト1位で入団した。愛称は「トムさん」。15年に自己最多の7勝をマークしたが、昨季は8月に右肘の手術を受けた影響もあり、1勝5敗に終わった。復活を期す今季も開幕2軍。18日に昇格したばかりで救世主になった戸村は「今後も中継ぎにしろ、先発にしろ“行け”と言われたところで行く」と力強かった。「困ったときのトムさん」はチームの窮地に登場する。(黒野 有仁)

続きを表示

この記事のフォト

2017年4月24日のニュース