巨人・坂本 曲芸V打 地面スレスレ内角フォーク「結果オーライ」

[ 2017年4月23日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人4―1阪神 ( 2017年4月22日    東京ドーム )

<巨・神>3回1死二、三塁、能見が投じた内角低めのフォークをすくい上げ逆転2点打を放つ坂本勇
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 巨人・坂本勇人内野手(28)が22日の阪神戦で「曲芸打ち」を見せた。1点を追う3回1死二、三塁で左腕・能見篤史投手(37)のフォークを中前へ逆転の決勝2点適時打。ワンバウンドしそうな内角低めの球を圧巻のバット操作ではじき返し、同率2位で並んでいた「伝統の一戦」を制した。開幕から「不動の4番」を務めてきた阿部慎之助内野手(38)が疲労の蓄積を考慮され、今季初めてスタメンから外れたが、打線には頼りになる主将がいる。

 「技あり」という表現では物足りない。まさに「曲芸打ち」だった。1点を追う3回1死二、三塁。2ボール2ストライクと追い込まれ打席の中で坂本勇は考えた。

 「真っすぐ系が来るのかな。追い込まれていたので、バットに当てることだけを考えていた」。能見が5球目に投じた126キロのフォーク。ワンバウンドになりそうな球だったが、無意識に体が反応していた。

 バットの先端があと数センチで地面をこするほどの低い位置からすくい上げた打球は中前へ。「結果オーライでした。狙って打てるような球じゃないので。たまたま反応できた。次はストライクを打たないと」。かつて、ワンバウンドした球を安打にしたイチローをほうふつさせるような逆転2点適時打に、打った本人ですら驚きを隠さない。

 現役時代に1753安打を放って「天才打者」と呼ばれた高橋監督も「(坂本)勇人にしかできないというか。僕は高めが好きだったので、僕には考えられないヒットだった」と目を丸くしたほどだ。

 今季は「不動の3番」としてチーム2位の打率・343をマークしている坂本勇は、追い込まれてから無類の強さを発揮する。ともにクリーンアップを担うマギーが「相手が仕留めにきた球をヒットにする技術は凄い」と証言するように、数字が事実を物語っている。

 2ストライクからの打撃成績は33打数11安打(・333)。今季9打点のうち7打点を叩き出しており、打者が不利とされる状況を全く苦にしない。試合前にはティー打撃で低めの球を捉える練習を繰り返しており、どんな状況にも対応するための準備に余念がない。だから、この日の曲芸打ちも生まれた。

 今季18試合目で5本塁打、23打点とリーグ2冠を走る阿部が疲労を考慮され初めてスタメンを外れた。負ければ3位に転落するというプレッシャーがかかる試合で、主将を務める坂本勇がしっかりと打線の軸としてチームを勝利に導いた。「勝てたのはやっぱり大きい。そういう試合でも勝ちながら戦っていくということが長いシーズンで大事になる」。まだ28歳だが、ベテランにも負けないだけの頼もしさが備わっている。(重光 晋太郎)

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2017年4月23日のニュース