【中畑清の視点】中日捕手・木下拓をだました三走・亀井の名演技

[ 2017年4月3日 09:00 ]

セ・リーグ   巨人6―3中日 ( 2017年4月2日    東京ドーム )

<巨・中>6回1死一、三塁、大竹のスクイズで生還する三走・亀井
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 巨人・亀井には助演男優賞をあげたいね。6回、3点勝ち越した後の1死一、三塁。巨人ベンチは大竹寛にバントのサインを送った。

 最低でも一塁走者を二塁に送る。あわよくばセーフティースクイズの形になればいいという作戦だ。三塁走者の亀井は前進する三塁手ゲレーロの動きに合わせてリードを取った。大竹寛のバントが捕前に転がる。捕手の木下拓に目でけん制された亀井は三塁へ戻るような演技をしておいて、木下拓が一塁へ投げた瞬間に本塁へ突っ込んだ。楽勝のセーフである。

 このケース、遊撃手は二塁、二塁手は一塁のカバーに入る。三塁手はよほど早く捕手が処理すると判断しない限り、打球を捕りにいくから三塁へは戻れない。防ぐとしたら左翼手が三塁カバーに入るシフトを敷くしかない。そんな間隙をついた好走塁。2手先、3手先を読み、しっかり準備していたからこそ奪えた1点だ。ベンチの真ん中では坂本勇が逆転サヨナラ弾が飛び出したかのように跳び上がっていた。小技で奪った1点に対する意識の高さを感じたね。

 中軸がガンガン打つだけじゃない。控えの選手がずる賢く1点をもぎとる。巨人にはいろんな得点パターンがあるって印象づけたゲーム。単なる3連勝じゃない。選手起用が見事に決まって最高のスタート。まだ先は長いけど、「笑顔が素敵な由伸監督」をもうちょっと見せてほしいな。(スポニチ本紙評論家)

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2017年4月3日のニュース