それぞれの開幕3連戦 80年生まれ「松坂世代」3人のベテラン

[ 2017年4月3日 09:30 ]

巨人・村田
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 あけましておめでとうございます――。プロ野球界で開幕は「お正月」だと言われる。17年シーズンの3連戦を終えて、順調に滑り出し出したチームもあれば、思うようなスタートを切れなかったチームもある。とはいえ残り140試合。我々もファンの皆さんも一喜一憂する野球の季節は、幕を開けたばかりだ。

 「そりゃ、緊張しますよ。何年やっても同じ。特に僕は、行く場面が場面だから」。3日の札幌ドーム。開幕3戦目を前に、まだ観客が入る前のグラウンドで、そう言ったのは日本ハムの矢野だ。プロ15年目のベテランも、シーズンのスタートは緊張するという。代打の切り札という役回りは、厳しい場面での出場がほとんど。なおさらだ。今季の初出場は3月31日の西武との開幕戦。7点を追う一方的な試合になってしまったが、9回1死一、二塁から代打で出場。この打席での空振り三振が3連戦の唯一の出番だった。取り返す次のチャンスまでの時間が長くなることもたびたびある。レギュラーとはまた違うプレッシャーを背負う、過酷な稼業だ。

 対照的に同じく札幌ドームで「僕はまだまだですよ〜」と冗談めかしたのは西武の渡辺だ。4球団を渡り歩いた経験豊富なベテランの役回りは、チームの危機のバックアップ。西武は源田ら若い力も加え、昨年日本一の日本ハムとの開幕3連戦で、全力疾走や進塁打など、そつのない野球をみせて勝ち越した。常勝軍団復活の兆しが見えたチームで、渡辺が力を発揮するのは内野手のレギュラーに故障などの有事の時だろう。主砲・中村とともに三塁でノックを受け始めると、いつ出番が来てもいいように備える真剣な顔つきが印象的だった。

 昨年まで担当した巨人は開幕3連勝を飾った。印象的だったのは1日の2戦目、9回に阿部のサヨナラ3ランを引き出した、先頭の代打・村田の右前打。昨年、3年ぶりの打率3割、25本塁打をマークしたが、マギーの加入で控えに回った。今季、初出場初打席だった打席で放った一打には様々な思いがあったに違いない。オープン戦終盤に顔を合わせた際に「心配しないでくださいよ。やることをやるだけですから」と言った表情と同じように、腹を決めた男の顔で打席に立っていた。

 3人とも80年生まれ。「松坂世代」も今年37歳を迎えるベテランになった。それぞれがたどってきた時間を踏まえて見るのもプロ野球を楽しむ醍醐味。海の向こうのメジャーリーグも開幕した。球春到来。白球が「しづ心なく」生むドラマを追う春の日々を、楽しもうと思う。(記者コラム・春川 英樹)

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2017年4月3日のニュース