【東尾修の視点】隙のない守備走塁…辻イズムで黄金期野球復活

[ 2017年4月1日 09:10 ]

パ・リーグ   西武8―1日本ハム ( 2017年3月31日    札幌D )

<日・西>2回、生還した中村を迎える辻監督
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 西武は辻新監督のやりたい野球が2回の先制点に見えた。1死二、三塁から木村文の遊ゴロで三塁走者の中村は投球の瞬間に第2リードをしっかりとり、バットに当たった瞬間に完璧なスタートを切った。捕手のミットをよけるスライディングといい足で奪った1点。2点目も1死一、三塁でカウント2ストライクからランエンドヒット。併殺を防ぐ形で、炭谷も内角球をおっつけて右方向に転がした。

 西武は近年、打ち勝つしか引き出しがなかったが、主砲の中村にまで走塁の意識が浸透している。守備では3回2死一塁から大谷の右翼線二塁打で、一塁走者で俊足の西川はスタートを切っていたにもかかわらず、完璧な中継プレーで失点を防いだ。どうやって1点を取り、1点を防ぐか。辻監督が現役時代に培った西武黄金時代の野球だ。

 辻監督は社会人の日本通運時代は強打者だったが、西武入団後は広岡監督に徹底的に右打ちを覚え込まされた。87年の巨人との日本シリーズで、中前打で一塁から一気に本塁に生還した伝説の走塁が頭に浮かぶが、隙を突き、次の塁を奪う集中力があった。そして、投手の配球によって守備位置も変えた。走攻守すべてに1球にこだわってきたのが辻監督だ。得点を取る方策は安打を打つことだけではない。開幕戦で得たこの戦いを積み上げること。全員が1年間、この意識を貫ければ優勝争いができる。

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2017年4月1日のニュース