清宮 不発敗退も…“通天閣”三塁打に右翼手驚いた「風船みたい」

[ 2017年3月28日 05:30 ]

第89回選抜高校野球大会第8日・2回戦   早実8―11東海大福岡 ( 2017年3月27日    甲子園 )

<東海大福岡・早実>2回戦敗退に悔しげな表情を見せる早実・清宮
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 2回戦3試合が行われ、高校通算79本塁打を誇る清宮幸太郎内野手(3年)を擁する早実(東京)は、東海大福岡(福岡)に8―11で敗れた。節目の80号に王手をかけていた清宮は期待されたアーチを描けなかったが、6回には「通天閣打法」のような規格外の高さの超飛球が右中間三塁打になるなど、圧倒的なパワーを披露。昨秋の明治神宮大会準V校は甲子園を去るが、夏はさらなる成長を遂げて、再び聖地に帰ってくる。

 4万3000人の万雷の拍手が銀傘にこだました。最大8点差をつけられながら、7回以降の3イニングで7点を奪った早実の粘りを大観衆が称えた。三塁側ベンチから引き揚げながら清宮は、聖地の風景を目に焼き付けた。

 「めちゃくちゃ悔しい。もう少し活躍できればチームが勝ったかな。ふがいない。今日はいいところを見せられなかったけど、また戻ってきて見返したい」

 8回に反撃の口火を切る右翼線二塁打を含む2安打を放ったが、2試合で9打数3安打もノーアーチ。初戦から大飛球を幾度も打ち上げたが、最後まで白球はスタンドに届かなかった。こだわってきた打点もなかった。

 ただ、怪物ぶりは見せつけた。6回、内角直球をかち上げた打球は右中間へ高々と舞い上がった。この回から右翼に入った前原は「あんなに高く上がったのは初めて見た。風船みたい(に落ちてこない)」と目測を誤り、中堅・有安とお見合い。野球漫画「ドカベン」に登場する坂田三吉が得意とする「通天閣打法」のごとく超飛球で落球を誘い、記録は右中間三塁打。規格外のパワーに、球場全体がどよめいた。

 昨秋、清宮が決めたスローガン「Go!Go!Go!」を口にするのは自分だけだった。ナインが恥ずかしがる中、声をからしながら一人で言い続けた。それが今ではチームに浸透。「どんな状況でも野球を楽しもう」。劣勢になった終盤でも、全員が笑顔だった。そんな姿勢が「終盤の粘りにつながった」とうなずいた。

 9回の打席に入る前に外野に舞っていたゴミを見つけると自ら指摘して拾ってもらった。清宮は最後まで集中し続けた。「みなさんに恩返ししようと思っていたけど、夏に取っておく。夏に戻ってきてもっと勝ちたい」。2発放ち鮮烈デビューした1年夏以来、2度目の甲子園でも土は持ち帰らなかった。清宮はもう一回り大きくなって、最後の夏も必ず甲子園に帰ってくる。 (東尾 洋樹)

 ▼ソフトバンク・王貞治球団会長(57年甲子園春優勝投手)残念だったね。後半、盛り返したけど、10点以上取られちゃったからね。夏に向かってこういうことをしなきゃいかんという課題が出た。

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