侍J中田「楽しめたらいい」完全敵地の米国戦 昨季25発中敵地17

[ 2017年3月22日 05:30 ]

WBC準決勝   日本―米国 ( 2017年3月21日    ドジャースタジアム )

ストッキングを珍しく上げてフリー打撃で快音を響かせる中田
Photo By スポニチ

 背後に9階まである内野席がそびえ立つ。5万6000人収容のドジャースタジアムは360度、大半が米国ファンだろう。前日練習の打撃ケージで、侍ジャパン・中田は「完全アウェー」を思い描いた。

 「アウェー感はハンパないと思う。そういう雰囲気全てにおいて楽しめたらいい」。フルスイングで3発。強く引っ張り、左翼席にぶち込んだ。

 敵地で燃える男だ。昨季は日本ハムで25本塁打を放ったがホーム球場の札幌ドームではわずか3発だった。筒香は昨季、44本塁打のうち横浜スタジアムで26発。球場の広さも影響するが両者を比べれば中田の「外弁慶」ぶりは際立つ。

 相手先発ロアークは動く球が特徴で、150キロ近い球速で鋭く沈むシンカーが軸だ。日本の野手が、手元まで引きつけてコンパクトに逆方向に打ち返す「つなぎの打撃」を意識する中、中田だけは「当てる技術がないので、持ち味のフルスイングを出したい」と豪快に宣言。米国の試合を視察した志田宗大スコアラーは「スモールベースボールはできる。世界に勝つにはパワーも見せないと勝てない」と分析する。

 かつて、熱狂的なカープファンの待つマツダスタジアムに乗り込む際には「赤を見ると燃える」と舌なめずりしたこともある中田。ブーイングも、ヤジも心地良い。14年のCSは全てビジター球場で9試合を戦い、4戦連発を含む5本塁打と神懸かった打棒を見せた。

 ずぶとい性格――。16日に渡米してから実は、時差ボケに苦しみ「最悪」と明かした。「眠れますけど、夜中にしょっちゅう起きてしまう」と笑っただけで「ここまで来てゴチャゴチャ言っている場合じゃない」と気にするそぶりはない。練習後には「正直日本と(球場の)スケールも違う。気持ちよかった」と、グラウンドで菊池と記念撮影をする余裕も見せた。

 1次、2次ラウンドで3本塁打、8打点は筒香と並んでチームトップタイ。「超一流と対戦できるのは楽しみ。どう見ても凄いメンバーだけど、関係なく自分のプレースタイルでやっていく」。日本の5番打者が「世界一のアウェー男」になる。 (神田 佑)

 ≪ビジターで17本≫中田は昨季25本塁打をマーク。うちビジターで17本と敵地で気を吐いた。自身ビジターのシーズン本数では13、14年の15本を上回り最も多かった。 また、昨季 中田がビジターで本塁打した試合は10勝6敗(勝率・625)。球宴以降に限ると6勝2敗(・750)とチームに勢いをつけた。

続きを表示

この記事のフォト

2017年3月22日のニュース