20年増築完成のハマスタ 歴史に敬意、丹念な協議重ねたDeNAと横浜市

[ 2017年3月17日 10:10 ]

改修後の横浜スタジアムのイメージ
Photo By 提供写真

 DeNAファンにとって、侍ジャパンの筒香の活躍と同じくらい嬉しいニュースだったに違いない。3月15日。DeNAと横浜スタジアムが、「横浜スタジアムの増築・改修計画」を取りまとめて横浜市に提出したと発表した。

 その計画内容は、壮大だった。予算は約85億円。現在の2万9000席から6000席増席し、3万5000席とする。さらに市街地を一望できるデッキ席や個室観覧席を新設し、スロープやエレベーターを増設することでバリアフリー化も推進するという。

 横浜スタジアムは、横浜市の公園施設であるために計画の実現には関係法令への整合性の調整が必要となる。そのため、横浜市との協力が前提となるが、計画が承認された場合は今年11月から工事に着工。野球・ソフトボールの主会場に正式承認された2020年の東京五輪を見据えた計画で、同年2月の完成を目指す。

 東京五輪開催だけでなく、横浜DeNAベイスターズにとっても「増築・改修計画」は大きな意味を持つ。DeNAが12年に球団を取得してから、本拠地での観客動員数は増加の一途をたどった。球団初のCS進出を話した16年シーズンは、史上最多の193万9146人を記録。座席稼働率は93・3%、完売は31回を数えた。記者も横浜スタジアムでの取材は、満員のスタンドの印象が強い。一方、観客動員数が増えることで、横浜スタジアムに試合を見に行きたくてもチケットが手に入らないという状況が生まれていたのも事実だった。

 昨年10月に就任した岡村信悟球団社長も「経営者として大きな課題」と口にした。前述の通り、横浜市の所有施設であるためDeNAと横浜スタジアム単体で解消できる課題ではない。ファンの声に応えるため――。今回の発表に至るまでに球団が、横浜市側と丹念な協議を重ねてきたことがうかがえる。

 15日に、横浜スタジアムで会見した岡村社長はこう語った。「これまで歩んできた歴史に敬意を払った上で、街と人に開かれた新たなコミュニティーボールパークにするべく増築、改修案を検討しました。計画案を横浜市に提出しましたので、これから調整を重ね2020年の東京五輪に間に合うように工事を進めていきます」。78年4月に開業した“ハマスタ”が、新たな歴史を刻む。(中村 文香)

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2017年3月17日のニュース