小久保監督に「将」の風格「世界一になりたい」

[ 2017年3月16日 05:33 ]

WBC2次ラウンドE組   日本8―3イスラエル ( 2017年3月15日    東京ドーム )

<日本・イスラエル>ソフトバンク・王会長(右)からねぎらいを受ける小久保監督
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 小久保監督は師と仰ぐソフトバンク・王貞治球団会長の手を固く握りしめた。第4回にして初めて全勝(6勝)で準決勝進出に導いた。8―0の9回。牧田がイスラエル打線につかまり、3点を返されても、指揮官は動かない。信じた。

 「自分が送り出した選手を信じること。自分が決めたことを信じて結果を待つこと。それを常に言い聞かせていた」

 12日のオランダ戦の先発は、当初予定した則本ではなく、石川を指名した。同戦の9回は守護神の予定だった牧田ではなく、則本に預けた。そして、この日は「ロングリリーフもできる中継ぎを考えている」と話していた千賀を先発起用。「早めに起用法を伝えてあげたいのはやまやまだが、勝つために全ての決断を下すと(強化合宿初日に)宣言した。選手が応えてくれた」と言った。

 15年秋のプレミア12では準決勝・韓国戦(東京ドーム)で敗れた。型にはまった継投が敗因と批判が集中した。今でも自宅にはその時の新聞記事が置いてある。「絶対にあの悔しさは忘れない」。教訓として得たのは「トップの仕事は決断すること」だった。決断に対する正解は結果だけ。その結果を背負うために、自らが納得して断を下した。2次ラウンドでは選手のコンディションも見極め、打順も動かした。勝負手が白星を生み、チームは一つになった。

 プレミア12では6連勝の後の準決勝で敗れた。その壁を越えなければ、世界一奪還はない。7日の開幕から8日で体重は3キロ減った。あと2勝。メジャーリーガーがそろう強豪撃破へ頭を巡らせる。「準決勝は一番難しい戦い。まともにパワーで対抗して勝てるとは思わない。守備、バッテリーを中心とした投手力。この準決勝を何とか乗り越えて世界一になりたい」。指揮官の決意のタクトに選手が前を向く。結束という強さをまとった侍が最終決戦へ向かう。(倉橋 憲史)

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2017年3月16日のニュース