侍J内川“ラッキーボーイ”小林に代打でV犠飛 切り札が決めた

[ 2017年3月15日 07:41 ]

WBC2次ラウンドE組   日本8―5キューバ ( 2017年3月14日    東京ドーム )

<日本・キューバ>8回1死一、三塁、代打・内川の右犠飛で生還した三走・松田
Photo By スポニチ

 侍ジャパンの小久保監督は覚悟を決めて代打を告げ、内川もまた、覚悟を決めて打席に入った。5―5の8回1死一、三塁。3番手ラエラの外角ボール球のスライダーに、目いっぱい手を伸ばし食らいついた。高々と舞い上がった打球は右翼ファウルゾーンへ。飛距離は十分。「捕ってくれ!と思った」。願いは届き、これが決勝犠飛となった。

 「誠司(小林)が2安打していたので監督も相当迷ったと思うし、相当な覚悟だったと思う。犠飛でヒーローにさせてもらうのも申し訳ない気分」

 この回、内川は走者が出れば、代打起用があることを告げられていた。「あそこが今日は一番(気合が入った)。勝負を懸けた場面で結果が出ないとチームにとってマイナスになる」。ラッキーボーイ的存在の小林への代打に、一層に気合が入った。小久保監督は「迷ったけど…」と笑い、「普段は自分のチームで4番を打っている選手が代打の1番手でも文句の一つも言わず全身全霊で戦っている。チームも勇気づいた」と褒め称えた。

 内川は言う。「前回大会の悔しい思いを自分でどうにかしないといけない」。4年前の準決勝。自らの走塁ミスが響き、3連覇を逃した責任は涙とともに背負った。その年のシーズン終了後にかかってきた一本の電話が、支えになった。12年までともにプレーし、新たに侍ジャパンを率いることになった小久保監督からだった。「成績を残して(4年後も)WBCに選ばれる選手でいてほしい」。思いやりであり、エールにも聞こえた。その言葉があったからこそ、もう一度、この舞台に立った。そして、決勝点を叩き出した。指揮官と交わした抱擁は、どんな絆より強固だった。

 「代打に慣れようとは思っていない」。それがチームで4番を背負うプライドだ。ただ、こうも言った。

 「世界一になりたい思いは強い。何としてもあす(15日)勝って、負けなしでアメリカに行きたい」

 いざ、世界一奪還。誰よりも4年前の悔しさを知る内川が、小久保監督を男にする。 (柳原 直之)

 ▼13年WBC準決勝、内川の走塁死 3月17日、プエルトリコ戦(サンフランシスコ)。1―3の8回1死一、二塁で4番・阿部の場面。一塁走者・内川、二塁走者・井端には「重盗OK」のグリーンライトのサインが出た。2球目に井端が一度はスタートを切りながらタイミングが遅れたため帰塁。その動きに気付かなかった内川が二塁手前まで全力疾走してしまい、挟殺プレーでタッチアウト。好機をつぶしたチームは1―3で敗退。3連覇を逃した。

続きを表示

2017年3月15日のニュース