マー「ゲームの達人」強風でもシンカーの変化量修正 3回無失点

[ 2017年3月7日 05:30 ]

オープン戦   ヤンキース3―2パイレーツ ( 2017年3月5日    タンパ )

<ヤンキース・パイレーツ>強風の中、好投した田中
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 ヤンキース・田中将大投手(28)が5日(日本時間6日)、オープン戦2度目の登板となるパイレーツ戦に先発し、3回を3安打無失点、4奪三振に封じた。これで2試合計5回を無失点。強風にも対応し、勝負どころでギアを上げ、課題だった制球力も増した。シーズンへの備えを幾重にも試して全て奏功。3年連続の開幕投手を務めるエースは、マウンドから試合全体を操る「ゲームの達人」の領域へと足を踏み入れてきた。

 涼しい顔で振り返る田中の表情が、順調さと手応えを物語った。「いろんなシチュエーションをオープン戦から背負って投げているのは、いいんじゃないですかね」。

 (1)風使い 風速7メートルの強風が吹き付けた。屋外が多い大リーグで風は重要な要素。「風が強いのは感じていた。自分の後ろから右打者の方へ吹いていた」。シンカー(ツーシーム)は右方向への変化が増す。例えば右打者の外角ボールゾーンからストライクに入れるバックドアもより動く。風を読み変化量を見極め、シンカーで2つの内野ゴロに仕留めた。

 (2)ギアチェンジ 2回先頭に二塁打を許すと、ピンチでギアを上げる真骨頂を発揮した。次打者をシンカーで遊ゴロ。外野フライも許されない1死三塁では、再びシンカーで前進守備の二塁手正面へのゴロに打ち取った。最後は宝刀スプリットで見逃し三振を奪い「あそこから無失点に抑えられたのは良かった」。メジャー移籍後最多の14勝を挙げた昨季も走者なしでの被打率・224に対し、得点圏は・215。二、三塁もしくは満塁はいずれも・143と危機が深まるごとに打者を封じた。状況に応じた変わり身は健在だ。

 (3)コマンド 「速球系(直球、シンカー)の“コマンド”が前回に比べ、はるかに良かった。そこは成果が出せた」。最も大事にする制球力。「コマンド」とは、狙った場所に投げ切る能力を指す。前回は2回無安打無失点。ただ制球に納得せず、課題だった左打者への外角球の精度を上げた。狙い通りのゲームプランに導けるのもコマンドあってこそだ。

 「その日のマウンドに立たないと、分からないことは多い。そこから立て直すすべはもっと身につけたい」という。環境、状況、体調に合わせた最適な方法を選択し、最終的に試合全体をマウンドから支配する。それがエースであり、田中。3回で球数のメドは45球だったが、37球で終えた。降板後はブルペンに向かい約10球。余裕の“おかわり”が頼もしく映った。(タンパ・後藤 茂樹)

 ▽コマンド 制球力を指す意味で大リーグで用いられる言葉。他に「コントロール」、「ロケーション」などがあるが、これらは「ストライクゾーンに投げられる能力」を意味することが多いのに対し、「コマンド」は「狙ったところに投げられる、より高いレベルの制球力」という意味合いが強い。主に90年代に活躍し4年連続サイ・ヤング賞を獲得したグレグ・マダックスは「最高のコマンド投手」と評された。

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2017年3月7日のニュース