修羅場くぐってきたサブマリン牧田 WBCの勝負の鍵握るその起用法

[ 2017年2月24日 10:00 ]

侍ジャパン強化合宿、ブルペンで投げ込む牧田
Photo By スポニチ

 修羅場をくぐり抜けなければ、見えない世界がある。来月上旬から開催される第4回WBCに向け、侍ジャパンに選ばれた投手は13人。2大会連続で唯一出場するのが西武・牧田だ。世界でも稀少なアンダースローは平均1・1秒の超速クイックに加え、緩急差は40キロ以上。テンポの速さにも強弱をつける立体的な投球で、打者を翻ろうする。

 洞察力に裏付けられた高度な投球技術の印象が強い。国際大会で一番必要なものは何か。即答で返ってきた言葉は熱がこもっていた。「気持ちの強さだと思う。日本の投手はみんな技術は持っている。あとは強い気持ちで打者と勝負できるか。例えば死球を当てて怒った打者がこっちに向かってくるかもしれない。そうなったら僕も逃げない。怖いですよ。でもひるんだら勝負できない」。

 守護神で起用された13年の前回大会。今まで背負ったことがない大きな重圧に押しつぶれそうになった。ブルペン待機で、投手交代で電話が鳴る。緊張が極限に達して気分が悪くなることも。「(巨人の)山口さんに“いってくださいよ”ってお願いした時もあった。でもマウンドに立ったら大丈夫になる」と振り返る。覚悟を決めて、腹をくくれるのも牧田の大きな武器だ。

 強い意志が体を突き動かす。逆転勝利を飾った2次ラウンドの台湾戦(東京ドーム)は勇敢なプレーが勝負の局面で鍵になった。同点に追いついた直後の9回から登板。先頭打者に安打を許したが、続く陽岱鋼(巨人)の犠打が小フライとなると躊躇なく飛び込んだ。

 選手生命に影響を及ぼす故障を恐れずダイビングキャッチ。背中がつって一度ベンチ裏に下がったが再びマウンドに上がった。2死一、二塁のピンチを迎えたが、相手の4番を空振り三振。魂で抑えた1イニングだった。今回のWBCで同じ場面が再び来たらどうするか。「多分飛び込むと思う。1つのアウトを取るのに必死だから」と強調する。

 WBCには球数制限がある。1次ラウンドは65球、2次ラウンドは80球、準決勝と決勝は90球。1点を争う競った場面で救援陣の投球が勝負の鍵を握る。「どんな場面でも投げるつもり。前回は目の前で悔しい思いをした。今回こそみんな世界一をつかみ取りたい」。ロングリリーフも抑えも可能な牧田は貴重な存在だ。代えがきかないサブマリン。その起用法が勝負の鍵を握りそうだ。(平尾 類)

続きを表示

2017年2月24日のニュース