阪神ドラ1大山 や〜っと初安打 17打席目球児撃ち

[ 2017年2月23日 05:30 ]

阪神紅白戦   紅組5―3白組 ( 2017年2月22日    宜野座 )

紅白戦の3回、大山が藤川から実戦初安打となる中前打を放つ
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 阪神の沖縄・宜野座キャンプは22日に紅白戦を行い、新戦力選手たちがこぞって大暴れした。ドラフト1位・大山悠輔内野手(22=白鴎大)は紅組の「7番・三塁」で出場し、3回の第2打席に中前へ“プロ初安打”。実戦17打席目でようやく快音を響かせると、4回にも中前打を続けた。未来の大砲候補が、ようやく長いトンネルを抜け出した。

 崩れかけていた心を、ギリギリでつなぎ止めた。3回の第2打席、藤川のカウント1―1からの外角高め144キロ直球を、大山が中堅左に弾ませた。一塁をオーバーランした所で自然とこぼれた笑みの真意は「喜び」より「安堵(あんど)」だろう。

 「正直、ホッとしていて、少し楽になりました。(バットの)先っぽでしたけど、今までやってきた形を出せた。でもトータルで考えると打率は相当低い。やっと1本出たけど、これから1本、2本と続けていかないといけない」

 4回の第3打席。同じ打席に立っていても、この時点で確かに見える景色はガラリと変わっていた。ドリスの152キロを簡単に中前へ弾き返した。実戦6試合で計19打数2安打は満足できない数字だが、1本の安打から明らかに一枚壁を破った様子だった。

 さすがに弱っていた。19日の日本ハム戦で3打数無安打に終わって15打席に快音無し。自身に向けられる多くのファンの視線が気にならないわけはない。人気球団の、しかもドラフト1位の重圧も知らずしらずのうちに感じていたのかもしれない。チーム宿舎では先輩選手たちに「もう僕、終わりました…」と自虐的に弱音を吐いた。あまりの落ち込みぶりに見かねた、一学年上の松田を始めとする先輩たちから励ましの言葉が飛んできた。「終わったって…、まだ始まってもないだろ」…。ハッと気づかせてもらった。「当てにいってヒットを…という気持ちもあったけど、自分のスイングをやり続けようと思って」。藤川の火の玉ストレートを、フルスイングの大山スタイルで打ち返した。

 サプライズ1位指名、そして打撃の密着指導をしてきた金本監督も胸をなで下ろした。「(藤川、ドリスからの安打は)評価できる。いいポイントで打っている。球児みたいな球質はなかなかね、ファウルになりやすいし。可能性としてはいいものを持っている」

 ようやく得た感触を、試合後、特打で1球1球、丁寧にバットを振って体にしみこませた。「強く振ることができたから結果になったと思う。満足はないけど、プラスに捉えたい。打てたイメージを明確にして、もっともっと、試合で出していけるように」。疲れているはずなのに、表情は明るい。本領発揮はこれからだ。(巻木 周平)

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2017年2月23日のニュース