イチロー ヒヤリ!守備練習で激突 ニヤリ“お前はクビ”

[ 2017年2月23日 05:30 ]

右膝にサポーターを着け球場入りするイチロー
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 ヒヤリ!マーリンズのイチロー外野手(43)が21日(日本時間22日)、守備練習中に同僚と接触し、右膝上部を強打して練習を途中で切り上げた。メジャー移籍後は故障がほとんどなかっただけに、周囲には緊張が走った。

 幸い大事には至らないもようだが、22日(同23日)は別メニュー調整となった。将来の殿堂入り選手にケガを負わせてしまったブランドン・バーンズ外野手(30)はチームメートからいたずらで「クビ」を通告された。

 グラウンドの空気が凍り付いた。中堅で守備練習をしていたイチローが、右中間への打球を追い「I got it(俺が捕る)」と声をかけた。だが、1メートル88、95キロの右翼バーンズが突っ込んで来て交錯し、左膝がイチローの右太腿を強打。背番号51は右足を引きずりながらクラブハウスへ引き揚げた。

 30分後。電気治療をして報道陣の前に現れた43歳の笑顔が、緊張を一気にほぐした。

 「大丈夫じゃないっしょ!声出すも何も、その前に散々センターが声出したらって話であれやって、びっくりするわ、もう。まあ彼を責めたらかわいそうだけど」

 中堅が声をかけたら右翼は任せることになっていたが、招待選手として参加する30歳には徹底されていなかった。この日朝は鉄壁の守備範囲を表す「AREA(エリア)51」と書かれたTシャツを着て球場入りしたが、予期せぬ「侵入」を許す形となってしまった。

 メジャー最年長野手のケガが軽傷であることが分かるとナインのいたずら心がさく裂。イエリチとボアがバーンズのロッカーからネームプレート、シューズなどをきれいに片付けてしまい、イチローを尊敬するゴードンは「お前はクビだ!幸運を祈る」の紙を張った。イチローもサインを添える粋な計らい。クラブハウスは爆笑に包まれ、責任を感じていたバーンズも「部屋に飾るよ。これで俺も日本で仕事を見つけられるかな」とジョークで返した。イチローは「こういうのアメリカっぽいよね」と笑顔。常々「最高のチームメート」と話すマ軍の雰囲気の良さが垣間見えた。

 米17年目を迎えるが、故障者リスト(DL)入りしたのは、胃潰瘍になった09年のみ。トレーナー室で治療を施している際には、記念撮影する選手も。イチローは「僕がトレーナー室にいるのを見たことがないから」と語ったという。腫れ上がった患部を指さし「明日は(練習)ないね」と別メニューを示唆し「腰もちょっときてる。どっちかっていうとそっちの方が後々心配ですよ」と球場を後にした。当面は自分の体と向き合いながらのキャンプとなる。(ジュピター・笹田 幸嗣通信員)

 ▽バーンズという男 アグレッシブな守備が一番の売りで、フェンスも恐れずに果敢にダイビングキャッチを試みるため、ロッキーズ時代には「スーパーマン」の異名も。強じんな肉体の持ち主で、高校時代は一時野球を諦めてフットボールに専念。大学進学の際は強豪のUCLAからも誘いを受けた。16歳から体にタトゥーを入れており、今では全身に約25カ所。05年ドラフト6巡目でアストロズ入団。メジャー経験は5年で、通算成績は465試合で打率.242、19本塁打、100打点。

 ▽イチローの過去の負傷 メジャーではマリナーズ時代の02年4月26日のヤンキース戦の守備でファウルボールを追い、フェンスに左膝を強打。途中退場し4針を縫う大ケガを負った。翌27日は欠場したが28日から復帰した。オリックス時代は、98年9月18日の近鉄戦で死球を受けた際に右腰をひねり負傷。99年8月24日の日本ハム戦では死球で右手首を骨折し、94年の開幕戦から続けていた連続試合出場が763試合で止まった。00年8月27日のロッテ戦ではファウルを打った後に右脇腹の激痛を訴え、右腹斜筋挫傷の診断。打席に立てないままシーズンを終えた。

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