相当の策士?隠し事ができない金本監督の駆け引き

[ 2017年2月14日 10:30 ]

8回の守備につく前、交代を告げにベンチを出る金本監督
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 【鶴崎唯史の探球】いよいよ球春到来だと実感します。宜野座ではDeNAを迎えて、今季初の対外試合が行われました。やはり紅白戦とは一味違う。特に同一リーグが相手だと、2月とはいえ、ピリッとした感じがしますね。さて、試合の内容は虎番に任せるとして、私は他球団のスコアラーをマーク。それは、昨年2月18日の紙面にあった『金本奇襲公開』なる記事の件でした。

 「実戦打撃」という練習内容は、1死一、三塁を想定して、打者がボールをとらえた瞬間に三塁走者が走り出す。つまり「当たり・ゴー」と呼ばれるギャンブル要素のあるプレーについてです。エース級の投手が相手だと、安打はもちろん、犠飛でさえ難しい。ならば、内野ゴロで1点取りたい。でも、ライナーを捕球されたら併殺、無死ならば三重殺のリスクもある。そんな1点を取る野球を重視した金本監督は「1年間使わないかもしれないけど」という練習もしっかり確認しました。そして、その談話が秀逸でした。

 「スコアラーがいっぱい来ているのは分かっている。こんなもの、どうせすぐにバレるんだから隠す必要もない。警戒してけん制が増えたりしたら、それだけで効果ありだからね」。もちろん、昨年はコリジョン・ルールの導入により、各チームが対策練習をしていますが、「どうせすぐバレる」とドームを使わず、青空公開としたのは金本監督らしい経緯です。

 昨年も阪神を担当していた中日の佐藤スコアラーは「(本当に隠すべき要素は)捕手がブロックサインを出したり、グラウンドの話し合いでコミュニケーションを取っていると思います。いろいろ試す時期ですから。私の感想は…言えません」。さすがに駆け引きは明かしませんでしたが、ここまでのチームの成熟度は実感しているようです。

 「以前の阪神は暗い感じだったけど、去年は鳥谷がチームを引っ張って、元気を出して明るくなった。やり過ぎかな、というぐらい監督も盛り上げましたけど、今年は落ち着いていますね。選手も監督が望んでいるものを理解しているんでしょう。方針が浸透しているのでは」

 金本監督の目指す戦い方は、やはり機動力をいかしたそつのない野球。そして広島でお世話になった「三村敏之監督の野球観」を実践することではないでしょうか。ある球界関係者が話していたのを聞いていて、うなずいてしまったことがあります。「金本監督って、隠し事ができないタイプじゃないですか」。しかし、それも含めて駆け引きだとしたら、相当の策士でしょう。この日のDeNA戦を、ネット裏の他球団関係者はどう見たでしょうか。

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2017年2月14日のニュース