西武・橋上コーチ「自分の能力に勇気を持て」 鳥谷が13年WBCで見せた“勇気”

[ 2017年2月11日 10:46 ]

歴代侍の金言=西武・橋上コーチ

13年WBC2次ラウンドのオランダ戦で打席に向かう阿部(左)に言葉をかける橋上戦略コーチ
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 準決勝でプエルトリコに敗れた13年の第3回WBC。西武・橋上野手総合コーチは戦略コーチの肩書で携わった。対戦国のデータを分析するスコアラーの要素が強く、選手には情報を直接伝える。「細かく伝えた方がいい選手もいれば、大まかに伝えた方がいい選手もいる」と声の掛け方一つにも神経を使った。

 侍ジャパンの合宿中はチームとほぼ別行動。他国の試合映像を6時間以上研究した。キューバなど、WBCに出場する選手が映像で見た大会から大幅に入れ替わった国もあり「戸惑ったが対応しないといけない」と、情報収集の重要さを語る。

 データと勇気が融合した試合が2次ラウンド・台湾戦だった。1点を追う9回2死一塁の場面。一塁走者・鳥谷が1球けん制を挟んだ後の二盗成功で試合の流れを変え、逆転勝利した。実は試合前、映像で相手投手の癖を確認してナインに伝えていた。「複数回のけん制はまずないと言われていたので」とデータを信頼して鳥谷は覚悟を決めた。橋上コーチは「走る勇気が凄い」と称えた。

 しかし、プエルトリコ戦は2点を追う8回1死一、二塁の場面での重盗失敗が響いた。結果的には、走塁の明暗がこの大会の大きな鍵となった。

 合宿中に最終メンバーが発表された時、選定には関わっていなかった橋上コーチは気になったことがあったという。「(12年の)セ・パの盗塁王(中日・大島、楽天・聖沢)が外れていた。国際試合の一発勝負で走塁のスペシャリストは欠かせないと思う」。今回のメンバーで野手で最後に選ばれたのが昨季リーグ2位の28盗塁をマークした広島・田中。途中出場での走塁が予想され、鍵を握るキーマンになりそうだ。

 「日本人は慎重だと思うが、トーナメントでは決断力が求められる。自分の能力に勇気を持ってやってほしい」。勝負どころこそ大胆に。これが金言だ。(平尾 類)

 ▽台湾戦での鳥谷の二盗 3月8日の台湾戦(東京ドーム)。2―3で迎えた9回、鳥谷は1死から四球で出塁すると、2死後の初球にベンチのサインで盗塁を敢行し、見事に成功させた。すぐさま井端が中前打を放って土壇場で同点。延長10回に中田の左犠飛で勝ち越した。試合時間4時間37分の激戦だった。

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2017年2月11日のニュース