ソフトB和田 滑るボールに抱く思い「世界共通のボールができればいい」

[ 2017年2月6日 08:27 ]

歴代侍の金言 ソフトバンク・和田毅

06年のWBC、救援で好投した和田
Photo By スポニチ

 06年の第1回大会で、初代世界一の偉業を成し遂げた王ジャパンの一員、ソフトバンク・和田が振り返るのは歓喜の瞬間ではない。苦笑いしつつ、こう切り出した。「毎年のようにボールが話題になりますね」。浮かぶのは苦い経験だ。この大会で和田がマウンドに上がったのは第2ラウンドのメキシコ戦(救援で2回無失点)だけ。04年アテネ五輪では先発の柱の一人として2戦2勝、防御率1・50と貢献した男には物足りない数字だった。

 「左肘の張りがあり、日本での第1ラウンドは回避しましたからね」。日本のプロ野球で使用するボールと比べ、WBC球は大きさ、重さが違い、表面は滑りやすい。制球するために押さえようとすれば負担は肘を直撃した。11年オフに海外FA権を行使し、メジャー挑戦した12年に左肘のじん帯を再建する通称トミー・ジョン手術を受けた原因になったのも同じ、症状だった。

 第1回から11年が経過してもなお「滑りやすい」など同じ話題が出る。「日本の選手は日本のボールで育ってきた。世界共通のボールができればいいなと思います。そうすれば今回のように(日本ハム)大谷君が出られなくなった時、調子のいい選手を選んでも(ボールに)対応できると思う」。すぐにはできないとは分かっていても、提言したい問題だった。

 今回、侍ジャパン入りした後輩の千賀には「滑らない方法もある」と対策を授けた。あの時、左肘が張る前に知っていれば結果は違ったかもしれない。今はただ、その経験が侍たちの道しるべになればと和田は願う。(福浦 健太郎)

 ▽和田のWBC登板VTR 06年3月14日のメキシコ戦で5―0の6回から先発・松坂を救援した。先頭打者に左前打を許したが、「5点差だったし、慌てず低めに丁寧に投げた」と後続を抑え、7回も3者凡退。2回21球を投げ、1安打1奪三振無失点だった。

続きを表示

2017年2月6日のニュース