【球団トップに聞く】中日・佐々木社長 老舗球団ならでは「3代続くファンをつくりたい」

[ 2017年1月30日 11:30 ]

球団トップに聞く!中日・佐々木崇夫球団社長(上)

今季のチームスローガン「原点回帰」のパネルの前に立つ中日の佐々木球団社長
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 4年連続Bクラス、昨季は19年ぶりの最下位に沈んだ中日。今季はかつて投手王国をコーチとして支えた森繁和新監督(62)が就任し、「原点回帰〜ゼロからのスタート〜」をスローガンに掲げて巻き返しを期す。就任4年を迎える佐々木崇夫球団社長(70)にチーム再建、新指揮官への期待を聞いた。

 会見ではデータを用い、丁寧な言葉遣いで説明する。緻密で真面目な印象を受ける佐々木球団社長は巨人、ヤンキースで活躍した松井秀喜氏と同じ石川県根上町(現能美市)で育った。小学時代は少年野球チームでアンダースローとして活躍。1969年の中日新聞社入社後は主に販売部門を担当。13年10月に現職に就いたが、スポーツ以外の部門で育ってきたからこその見方がある。

 「長年の営業現場からすれば、勝敗に関係なく、お客さんが来てくれる環境をつくることが一つの考え方ですね」

 就任当初から力を注いだのは「ファンの開拓」だ。「老舗球団ですから3代続くファンをつくりたい」。昨年の球団創設80周年を控えた直前に、「ファンに感動を」「地域に活力を」「球界に新風を」と経営理念を立てた。チーム強化と連動するが、球団経営は「サービス業というジャンルに入る。奥が深いし、間口も広い」と営業部門との意見交換は欠かさない。

 同時期に就任した壁谷浩和取締役営業本部長と連携し、昨季はカードによるシリーズ企画を増加。「ガールズシリーズ」など来場者ユニホーム配布特典やトークショーなど場外イベントも実施した。常勝時代と比較して観客動員が減少し、ファン離れが危惧される。しかし、最近は3年続けて微増となり、地道な効果を実感する。

 80周年事業にも尽力した。ドーム内に球団の歴史が分かり、キッズエリアを設けた資料館を「ドラゴンズワールド」としてリニューアル。4月は「野球の裾野を広げる」と自身が理事長を務めるNPO法人ドラゴンズベースボールアカデミーも愛知、岐阜で開講した。

 鈴木孝政OB会長を校長とし、OB講師が小、中学生に個人指導を実施。さらに今季からナゴヤドームが約10億円をかけて全長100メートルを超える巨大ビジョンを新設する。客席は昨年までの3万8200席から約1500席減るが、「12球団随一」と胸を張る迫力ある雰囲気づくりを後押しする。

 年賀式では「過去は消しゴムで消し去るわけにはいきません。スローガンの通り原点回帰、ゼロからのスタート。心技体の鍛え直しが必要だと痛感します」と語った。ファンに感動を与えるにはやはり強くなければならない。そのためのチーム再建を森新監督に託した。 (細川 真里)

 ◆佐々木 崇夫(ささき・たかお)1946年(昭21)12月18日、石川県根上町(現能美市)生まれの70歳。69年に中日新聞社入社。当時の配属は販売局。98年に東京本社(東京新聞社)販売局へ移り、05年に中日新聞社に戻って取締役販売担当。11年6月からの常務取締役広告担当を経て、13年10月に中日ドラゴンズ代表取締役兼オーナー代行に就任。現職就任以降は能美市観光特使も務める。

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