【球団トップに聞く】オリ・西名社長 “第2のイチ”誕生へ30億円新練習拠点

[ 2017年1月28日 11:00 ]

球団社長に聞く!オリックス・西名弘明球団社長(上)

オリックスの西名球団社長
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 昨年、4年ぶりの最下位に転落したオリックス。西名弘明球団社長(72)は現有戦力の強化を逆襲のキーワードに掲げた。神戸市にあった練習拠点を3月から大阪市の舞洲地区に移し、新施設を完成させるなど育成態勢も整えた。営業一筋で培った手腕を生かした経営面の拡充も図り、ソフト、ハードの両面を充実させて、チーム浮上の起爆剤とする。

 歯に衣(きぬ)着せぬ物言い、人懐っこい笑顔から、正直な人柄がにじみ出る西名社長。オープン戦、ペナントレース、交流戦、2軍全てで最下位というプロ野球史上初となる不名誉を背負った屈辱の昨シーズンを振り返り、「落ちるところまで落ちた。上を向くしかない」と唇をかむ。

 糸井の慰留、陽岱鋼(ヨウダイカン)の獲得に失敗した。親会社は世界的企業で大型補強を可能にする資金力を有するが、福良監督とも話し合い、生え抜き選手の育成こそ、V奪還の近道との結論に達した。

 「選手の流動化、戦力の均等化はプロ野球にとって大事なことで、プロパー(生え抜き)はチャンスと捉えるべき。日本ハムの大谷君は将来メジャー挑戦するのか分からないが、そうなった場合、きっと若い投手がチャンスをつかむ。そういうことがないと長期的に強いチームにはならない」

 68年にオリエント・リース入社以来、営業一筋でまい進。現有戦力の底上げに向け、現場で培った手腕を武器に環境面を整備する。3月から大阪市の舞洲地区に移転する新たな練習拠点がその一つだ。オリックス、サッカーJリーグのC大阪、バスケットボールBリーグの大阪エヴェッサ。3つのプロチームが集結する「スポーツアイランド構想」で、その中核企業として西名社長は当時の大阪市長・橋下徹氏と連携、実現にこぎつけた。総工費30億円をかけ、舞洲野球場の北西敷地に両翼100メートル、中堅122メートルのサブ球場、約60メートル四方で24時間稼働する室内練習場、選手寮・クラブハウスが完成した。

 イチロー(マーリンズ)が在籍時に連夜、マシン相手に打撃練習に励んでいたことは有名だ。京セラドームから車で15分の距離にあり、ナイター終了後も打ち込むことが可能となった。「彼は非常に真面目な人間で、それくらいやらないといけないということ。毎年1度は会食して、彼がごちそうしてくれることもあるね。“帰ってくるならオリックスで”というのは、ずっと伝えています」。“第2のイチロー”の誕生へ下地を整える一方で、イチローの日本球界復帰の準備も怠らない。 (湯澤 涼)

 ◆西名 弘明(にしな・ひろあき)1944年(昭19)9月18日生まれの72歳。68年にオリエント・リース株式会社(現オリックス)入社。営業部長、オリックス・オート・リース社長、不動産事業本部長などを歴任し、05年にオリックス執行役副会長。09年10月にオリックス野球クラブ代表取締役社長兼オーナー代行に就任。

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