【球団トップに聞く】西武・居郷社長 ファン目線のサービスで観客さらに増やす

[ 2017年1月25日 11:30 ]

球団トップに聞く!西武・居郷肇球団社長(下)

赤坂プリンスホテル(現ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町)で働いていた当時の西武・居郷球団社長(左から2人目)
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 30歳でアマチュア野球の第一線から退き、社業に専念。当時勤務していた大箱根カントリークラブは政治家、芸能人の利用客が多かった。多忙な合間を縫ったスケジュールで行動する中、サービス業として機転の早さが求められる。先輩からは「ボヤッとするな。お客さまを第一に考えろ」と口酸っぱく言われた。「目配り、気配り、心配りは当時学んだ大切な言葉。お客さまが何を求めているのか考えて動くことが大事。この経験は今も役立っている」と強調する。

 社長に就任以来、FAで中島(オリックス)、涌井(ロッテ)、片岡(巨人)、岸(楽天)と主力選手が次々に退団した。チームも近年は3年連続Bクラスと低迷が続いているが、主催試合の観客動員数は14年の149万8365人から昨年は161万8194人と盛り返している。「お子さまからお年寄りまで、まず球場に来ていただくことが大事。そしてファンクラブの会員を増やすことが大事になる」。サラリーマン時代に培ったお客さま目線の視点が生きている。

 15年2月に所沢市を皮切りに現在まで16市1町と「連携協力に関する基本協定」を結んだ。協定締結した都市に市民が転入届を提出した際は球場への招待券を贈呈。小・中学校の児童や生徒にも招待券を贈っている。将来的には埼玉県全域との協定締結を目指す。

 観戦して西武の魅力が伝われば、何度も球場に足を運ぶコアなファンになる可能性がある。西武ファンクラブの入会特典は他球団に比べて手厚いことで知られる。ユニホームだけではなく、バッグや内野指定席のチケット2枚も入っている。現在の会員数は9万6200人。ファンが満足するサービスを提供して10万人突破が目標だ。

 今月にはメットライフ生命保険会社とパートナーシップ契約を結び、同社が球場のネーミングライツを5年間取得することを発表した。「今年のテーマはスピード、イノベーション、チャレンジ。球場もイベントなど新しい取り組みをどんどんしていきたい。もちろん、チームが強くなることをファンの皆さまが一番に求めている。今年こそ必ず優勝したい」

 08年に球団名を「埼玉西武ライオンズ」に変更して今年で10年目。節目の年を黄金時代復活の足がかりにする。 (平尾 類)

 ◆居郷 肇(いごう・はじめ)1956年(昭31)4月11日、岡山県生まれの60歳。倉敷工ではエースとして3年春のセンバツ8強。法大では内野手でベストナインを2度獲得し、東京六大学リーグ通算打率・361、5本塁打。プリンスホテルに入社して30歳で現役引退。大箱根カントリークラブ総支配人などを経て09年に同社執行役員就任。11年3月から現職。

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