【球団トップに聞く】阪神・高野本部長 戦いながら生え抜き野手の育成を

[ 2017年1月22日 11:30 ]

球団トップに聞く!阪神・高野栄一球団本部長(上)

阪神の高野球団本部長
Photo By スポニチ

 阪神・高野栄一球団本部長(53)は就任2年目の金本知憲監督(48)との二人三脚で、今年も「育てながら勝つ」野球を目指す姿勢を強調した。屈指の人気球団のかじ取り役として常に毀誉褒貶(きよほうへん)がつきまとう重責。一昨年、昨年と2年連続で野手を1位指名したドラフト戦略やオフにオリックスからFA宣言した糸井を獲得した狙いを明かした。

 柔らかい物腰で編成部門をまとめる。阪神電鉄本社からの出向では最古参の在籍27年目。4位の昨季を「これだけのファンもおられるので申し訳ない」と振り返った高野球団本部長は、その豊富な経験を生かし「育成」と「勝利」の両立に挑む。

 「今年は1年目の進行形と思っています。3年計画でいけると一番いいでしょうが、そうはなかなかうまくいかない。本来なら監督とも“FA補強はなしでいけたら”ということでしたが、やはり複数の軸がいないとチームにならない。そういう意味でも状況に合致した補強ができたと思います。監督要請し、お願いした大方針は“大きく変える”こと。足元をしっかりと見ていきたい」

 15年オフに猛虎の「超変革」を託し、金本監督を招へい。今年も引き続き、積年の課題である生え抜き野手育成に取り組む。ドラフトから強い意志を打ち出し、一昨年の高山、昨年の大山(白鴎大)と野手を2年連続1位指名。分離ドラフトを除く通常ドラフトでは、球団史上初の決断だった。

 「金本監督、掛布2軍監督という野手出身の秀でた指導者がおられる間に野手を育てたい。投手が欲しいのは当然ですが、野手を育てたい」

 確固たる決意で改革を推し進めながら、勝利も追い求める。2つの作業を同時進行する苦労は並大抵ではない。特に熱狂的なファンから期待は大きく、「育成の年」は許されない。だから糸井をFA補強するなどチームを構成する上で最低限の「幹」を強化。若手の育成を妨げないことを大前提とし、状況に合致した戦力を整えた。

 「できる限りの戦力を与えて戦ってもらうのが理想でしょうが、ウチは若い選手も多い。ちょっと虫のいい話かもしれませんが、(戦いながら)生え抜き野手の底上げという部分も進めてもらいたい」。結果的に今季は福留、糸井のベテラン2人が外野2ポジションを占める。とはいえ、2人も数年後には後進に道を譲る時が来る。言うなれば、今は猶予期間。その時までに、生え抜き野手の育成を進める算段だ。 (惟任 貴信)

 ?高野 栄一(たかの・えいいち)1963年(昭38)7月19日生まれ、大阪府堺市出身の53歳。泉陽高、関学大では硬式野球部に所属。87年に阪神電鉄に入社し、90年12月25日付で阪神タイガース入社。広報部主任を皮切りに、管理部ファームディレクター、管理部長、球団副本部長兼管理部長兼育成部長などの要職を歴任。12年から現職。

続きを表示

2017年1月22日のニュース