栗山監督 大谷マジック起用で日本一連覇を 魔術師・三原修さん墓前に誓う

[ 2017年1月20日 06:30 ]

故・三原脩氏の墓前で手を合わせる栗山監督
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 名将を驚かせます――。日本ハム・栗山英樹監督(55)が19日、東京都内で三原脩氏の墓参りをした。監督就任時に訪れてから、今年で6年連続となる墓参。尊敬してやまない名将に昨年の日本一を報告し、異例の誓いを立てた。誓ったのは、二刀流・大谷翔平投手(22)のさらなる飛躍、そして監督通算1687勝を挙げて「魔術師」と称された三原氏をも驚かせるような野球での日本一連覇だ。

 墓前に花を供え、手を合わせた。6年続けての墓参。今年は日本一という最高の結果を持って訪れた。栗山監督は例年になく長い間、目を閉じて静かに語りかけた。

 「必死に考え、それでも苦しんだときには、ポンッと背中を押してください」――。11・5ゲーム差を大逆転し、自身初の日本一まで上り詰めた昨季。苦しみ、悩んだときに背中を押してくれたのは、間違いなく三原氏だった。日本一連覇が懸かる今季。名将の墓前に立てた新たな誓い。栗山監督はこう言った。

 「日本一になったことには“よくやったな”と言ってくれると思う。だけど、喜んでもらえたことで終わりじゃない。三原さんをもビックリさせるような野球をやっていかないといけない」

 このオフ、三原氏の義理の息子に当たる中西太氏に「オヤジも喜んどると思うぞ」と祝福してもらった。ただ、昨季が終着点ではない。三原氏は56年から3年連続で西鉄(現西武)を日本一に導いた。先入観を持たず、誰も使わない戦術を繰り出して「魔術師」と称された名将を驚かせるような野球をやらなければ、日本一連覇という大きな山は越えられない。

 昨季、栗山監督も数々の「マジック」を繰り出している。大谷をレギュラーシーズンで「1番・投手」で起用し、CSではDHから抑えのマウンドに送った。ただ、それらの起用法はかつて三原氏が使っているものだ。その大谷の起用法について栗山監督は「いつも“大谷の使い方はこれでいいんですか”と問いかけている。三原さんならどう使うのか。もっと(投手、野手の)両方で大胆に使っているかもしれない」と言った。故障のリスクを考慮しながらも「去年あれだけできたから、これでいいということはない。もっと翔平の能力を発揮させられるはずだから」。二刀流の起用法を、さらに進化させていく考えだ。

 二刀流の進化形。そうなれば、投手20勝&打者30発も夢ではない。三原氏は監督時代、選手の起用法を「花は咲き時、咲かせ時」と表現した。選手は一番いいときに使わないといけない、ということ。早ければ18年のメジャー移籍を希望する大谷にとって、日本ラストイヤーになるかもしれない今季。栗山監督は名将が驚くほどの大輪の花を咲かせるつもりだ。 (秋村 誠人)

 ▽三原脩 1911年(明44)香川県生まれ。旧制高松中、早大を経て、34年に職業野球契約選手第1号として巨人の前身球団に入団。47年から5球団で監督を歴任し巨人をはじめ西鉄、大洋で計6度優勝。独創的な采配で歴代2位の監督通算1687勝を挙げた。73年オフに日本ハムの初代球団社長に就任。83年野球殿堂入り。84年に72歳で死去。

 ≪大谷サプライズ起用≫

 ☆DH解除 5月29日の楽天戦(コボスタ宮城)で初めてDHを解除し「6番・投手」で出場。打っては3安打1打点、投げては7回4安打1失点で3勝目。投手としてパ・リーグの公式戦でDHを使わずに先発するのは75年のDH制導入後、球団初だった。

 ☆プレーボール弾 7月3日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)に「1番・投手」で先発し、初回に中田の初球を叩き先頭打者弾。投げても8回無失点で自身7連勝で8勝目を挙げた。

 ☆登板前日の代打 9月27日の西武戦(西武プリンス)の7回に代打出場。初めて登板前日に打席に立ち、二塁打。翌28日の同戦で優勝決定試合で史上初の1―0完封を演じ、自身初の胴上げ投手となった。

 ☆DHから救援 CSファイナルステージ第5戦、10月16日のソフトバンク戦(札幌ドーム)。「3番・DH」で出場していた大谷が3点リードの9回に救援登板。自身の持つプロ野球最速を更新する165キロを連発し、公式戦初セーブで日本シリーズ進出を決めた。

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