記者にとっても地獄…ソフトBグアム自主トレの脈々と引き継がれる伝統

[ 2017年1月20日 11:00 ]

猛暑の中、グアム自主トレを行ったソフトバンク・松田(右)
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 1月のグアム自主トレ取材の出発前日だった。今季から新しくソフトバンク担当に就任した後輩の後藤実穂記者から「常夏のグアム。楽しんで来てくださいね」と無邪気なメールが来たが毎年、そんな気分で飛行機に乗ったことがない。

 「地獄」のイパオ公園が頭から離れないからだ。秋山前監督の現役時代から同じ場所、同じメニュー。昨季引退した松中、松田へホークスの「伝統」は脈々と引き継がれている。青々とした芝生と照りつけるような太陽の下、担当記者もノルマがある。「走ってもらいますからね!」と「熱男」にロックオンされたら、断る選択肢はない。

 最後に上り坂のある200メートル走で息が上がり、30メートルの傾斜ダッシュでは「5本」と聞いていた最初の約束はあっさり反故にされ、4本目を終えたあたりでは「10本ですよ」と2倍になった。走り終えた頃には写真を撮る気力もなくなる。激しくジャンプなど繰り返す名物「10種トレ」は42歳の肉体を考え、他社の後輩記者に譲ったが、呼吸は最後まで整わない。毎年これを繰り返している。

 「ここ(グアム)は体の芯から汗をかける。1年分の体力がつくんです。引退するまでグアム自主トレはやめません」。松田は10日にグアム入りし、練習できたのは実質6日間だ。1年分の貯金ができるとは到底、思えないが、阪神・糸井の自主トレに入門している柳田も師匠とともに2年連続でこのイパオ公園でトレーニングする。バーベキュー設備以外は特徴のない公園だが、なぜか一流選手を引き寄せる。

 1年分の体力どころか、帰国後は数日間、筋肉痛に苦しめられた。毎年のように行った恒例の自主トレ取材だが、そろそろ、後進に道を譲る時期にきた。1年後には「楽しんで」のメールを送る立場になるつもりだ。(記者コラム・福浦 健太郎)

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2017年1月20日のニュース