東大にスカウト5球団 異例の「宮台詣」に浜田監督仰天

[ 2017年1月15日 06:15 ]

東大のドラフト候補・宮台に熱視線を送る、右からオリックス・由田スカウト、ソフトバンク・山本スカウト、ヤクルト・橿渕スカウト、DeNA・河原スカウト。左端が西武・竹下スカウト
Photo By スポニチ

 赤門左腕にスカウト5球団!今秋ドラフト候補の東大・宮台康平投手(3年)が14日、東京都文京区の東大球場で今年の初練習を行った。グラウンドには、プロ5球団のスカウトが集結。東大では超異例となる「宮台詣」は、昨年末にプロ志望を表明した左腕への高い評価の表れだった。宮台はこの日から始まったセンター試験を受ける受験生にエールを送り、自身はプロ入りに向けて全力を尽くす。

 一人、また一人とスーツ姿のスカウトがスタンドに姿を見せた。寒風吹きすさぶ東大球場で、午前10時すぎから始まった初練習。熱い視線の先には最速150キロ左腕がいた。ヤクルトにDeNA、ソフトバンク、西武、オリックスの5球団。あいさつを受けた浜田一志監督は「(12年11月に)私が監督になってから、こんなことは初めて」と驚く。宮台は昨年12月23日にプロ志望を表明。各球団の動きは早かった。

 「凄いありがたいです。でも、あまり気にせず、その日にやるべきことをやるだけ」。プロ側の高い評価を実感した宮台だが、口調は努めて冷静だった。年末年始は神奈川県内の実家に帰省。家族に「プロを目指して頑張る」との思いを改めて伝えた。この日は30メートルほどの距離で約80球のキャッチボール。左肩痛の影響で昨秋は1試合の登板に終わり、現在は「ちょっとずつ(状態を)上げている感じ。順調です」と復帰途上だが、そのポテンシャルに対するプロ側の期待は大きい。

 「始動の日に“来たい”と思わせる投手。直球の質、スピードが素晴らしい」とオリックス・由田慎太郎スカウト。「十分、ドラフト1位の12人に入ってくる。球界の宝になる可能性があると思う」と、日本の最高峰で学ぶ文武両道の左腕を絶賛した。東大出身のプロ野球選手は過去5人で、ドラフト指名は66年の中日・井手の3位が最高。1位なら1877年創立の東大初の快挙だ。

 「最終年が始まるし、悔いの残らないように。(プロは)憧れの舞台。目標を自分の力で達成したい」。この日からセンター試験がスタート。グラウンドに隣接する東大キャンパスでも試験が行われ、練習は「大きな声を出さない」との条件で実施された。4年前、宮台は1日10時間前後の猛勉強。特に世界史、地理に力を入れ、センター試験では「自信はあった。9割弱は(点を)取れた」という。「時間は限られるけど、やってきたことに自信を持って頑張ってほしい」と受験生にもエールを送った。

 宮台自身もプロ入りへ向け勝負の一年。「肩を万全にすること。やれることをやるしかない」と力を込めた。思いは全国の受験生と同じ。全ての力を出し切って、大きな自信を胸にその日を迎える。(鈴木 勝巳)

 ◆宮台 康平(みやだい・こうへい)1995年(平7)7月1日、神奈川県生まれの21歳。小3から野球を始め、湘南では3年春に背番号7ながら投手も務め、神奈川県大会8強。3年夏は背番号1で神奈川大会3回戦で敗れた。東大1年秋にリーグ戦初登板し、2年秋に初勝利。3年春、東大投手では8年ぶりのリーグ戦2勝。通算22試合4勝6敗、防御率2・51。1メートル78、84キロ。左投げ左打ち。

続きを表示

2017年1月15日のニュース