【球団トップに聞く】巨人・久保社長 ブランド再生長期戦略「ジャイアンツロード」

[ 2017年1月14日 11:00 ]

球団トップに聞く!巨人・久保博球団社長(上)

王貞治氏の写真を背に球団経営について話す久保球団社長
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 昨年、高橋由伸監督(41)が就任し、新たなスタートを切った巨人。一昨年秋から開幕直前まで野球賭博問題という激震が走った中で迎えた一年でもあった。厳しい視線にさらされるなかで「ジャイアンツブランド」の再生を目標に掲げるのが久保博球団社長(67)。球団創設90周年を迎える2024年に向けた球団再建の道を、「ジャイアンツロード」と名付けて先導していく。

 都心のオフィス街にそびえる高さ200メートルの読売新聞本社ビル。26階の球団事務所の社長室の壁には、1枚の写真が飾られている。背番号1の76歳の王貞治氏(ソフトバンク球団会長)の美しき一本足打法。昨年11月、台湾・台北で行われた「巨人OB選抜VS台湾OB選抜」の慈善試合を成功させたのは、久保球団社長だった。

 ONをはじめ、輝かしい戦績で「球界の盟主」と呼ばれた栄光の巨人軍。長い歴史の中で、昨年はあってはならない野球賭博問題の激震の中でシーズンを迎えた。「ファンの力が一番ありがたかった。日本全国から批判もあったけれど、支える声があって、選手もそれを感じたと思う」。リーグ2位に甘んじたが、観客動員は15年より微増の300万4108人で4年連続の300万人超え。苦戦を覚悟した久保球団社長は、ファンへの感謝を口にした。

 14年6月に就任。以前は読売新聞社のスポーツ事業部長、事業局長として12シーズン、球団の外で興行に携わった。当時の日課は、試合開始1時間30分前に東京ドームの外周を一周すること。「きょうはお客さんの層が違うなとか、肌で感じるよね」。ひそかに他球団のファンクラブに登録して、サービスのリサーチもした。高校時代はラガーマン。行動派で思い立ったらトライする。そのポリシーは今も変わらない。「今季はSNS元年。遅まきだけど。SNSを使った情報発信を飛躍的に増やしたい」。余地がある若者のファン層発掘へ挑戦するという。

 就任から間もなく3年。「まずは強いチームをつくるのが大前提。もう一つはジャイアンツブランドをもう一度、高めること。歴史を大事にする球団。そこにブランドの鍵がある」。90周年を迎える2024年へ向けてのブランド再生が長期戦略だ。「いずれ“ジャイアンツロード”というコンセプトとしてつくりたい」。そう言いつつも、久保球団社長の種まきはもう、始まっていた。 (春川 英樹)

 ◆久保 博(くぼ・ひろし)1949年(昭24)9月7日、宮城県生まれの67歳。東北大文学部を卒業し、75年4月に読売新聞社入社。経済部、地方部などを経て、01年にスポーツ事業部長に就任。箱根駅伝をはじめ、日米野球、アジアシリーズなどの開催にも携わった。09年から事業局長となり、14年6月に巨人軍の代表取締役社長に就任した。

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