オリドラ8沢田、同級生・藤浪が語った安藤との“共通点”

[ 2017年1月12日 13:03 ]

甲子園で投げ合うことを誓う藤浪(右)と沢田
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 東京六大学リーグ通算22勝を挙げ、オリックスにドラフト8位指名で入団した沢田圭佑投手(22=立教大)は、「阪神・安藤タイプ」らしい。大阪桐蔭高時代の同級生である阪神・藤浪晋太郎投手(22)が教えてくれた。

 3日付の本紙大阪版において、12年の甲子園大会で春夏連覇を達成した大阪桐蔭のチームメートだった藤浪と沢田の対談を掲載した。その対談終了後、ふと藤浪に「沢田君はプロでどんな投手になると思う?」と水を向けてみた。すると「球団内で、どういう考えがあって沢田を獲ったのか自分は知らないので難しいですけど…」と前置きした上で、個人的見解を話してくれた。「沢田=安藤」。そのココロは…。

 「オリックスさんの考えは分からないですが、(沢田は)セットアッパーをやるのかな、と。いい場面のセットアップから8回とか。沢田の投球スタイルとか、高校時代の投球を見ていると、安藤さんとイメージがかぶります。(今の)安藤さんの球が速いバージョンみたいな感じ。コントロールや球威、ボールを動かしたりとか、そういうところで勝負する投手かな、と思います」

 阪神・安藤と言えば、05年から12年まで主に先発起用されたため、そのイメージが強い。だが、入団2年目の03年には51試合登板5勝2敗5セーブ、防御率1・62でリーグ優勝に貢献した不動のセットアッパーだった。昨季までの通算485試合の内訳を見ても352試合が救援登板。中継ぎに再転向した13年以降、昨季まで4年連続で50試合以上登板を継続している実力派右腕だ。

 藤浪が言う通り、その安藤と沢田には共通する部分が多いと感じる。直球の最速は安藤が150キロで、沢田は149キロ。ともに平均球速は140キロ台前半から中盤で、球速よりも切れで勝負するタイプだ。打者を力でねじ伏せるのではなく、直球と変化球を巧みにコースに投げ分けて、打ち取るイメージも同じ。ついでにガッシリした体格も…。藤浪に言われて、妙に納得してしまった。

 藤浪の「見る目」は確かだ。その一例として、高校時代の西武・高橋光成と楽天・安楽智大に対する評価を紹介したい。下級生時からプロ注目だった済美・安楽に対し、前橋育英・高橋は2年夏の甲子園大会で優勝するまで全国的には無名に近かった。ともにドラフト1位指名されるも、安楽は2球団競合で、高橋は単独。世間的評価も、安楽の方が上だった。

 だが、藤浪の評価は違った。13年夏の甲子園大会で初めて高橋の投球を見た藤浪にその大会中、「安楽投手とどちらが上だと思う?」と聞いたことがあった。その答えは「安楽君もいい投手だと思いますが、個人的には高橋君の方が面白いと思います。カウントを取るスライダーが投げられてアウトローにしっかり直球を投げられる。高校時点で勝てる投手と言うなら、高橋君の方が安楽君より上だと思います」。そしてプロ入り後。高橋は1年目から5勝し、昨季は4勝11敗と黒星先行ながら先発ローテーションに定着した。一方の安楽も2年間で通算4勝を挙げたが、現時点では高橋が一歩先んじている状況。ここまでは藤浪の見立て通りというわけだ。

 さて「安藤タイプ」と評された沢田。藤浪の話に耳を傾けた後、「自分自身も詳しくは分からないけど、先発は無さそうですね。後ろの方で準備していこうと思っています」とうなずいた。ちなみに藤浪は沢田の8位指名についても「もう少し上かなとは正直、思っていました」と首をかしげた。プロ4年間で通算42勝を挙げている“藤浪スカウト”からお墨付きを得た沢田。オリックスの評価を覆し、阪神・安藤ばりのセットアッパーとなる日を、今から楽しみにしている。(記者コラム・惟任 貴信)

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