【キヨシスタイル】ラミ監督 早々に開幕投手指名は最高の演出

[ 2017年1月10日 10:15 ]

DeNAの石田
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 やるねえ、DeNAのラミちゃん監督。早くも開幕投手を発表した。石田健大に「柱」としての自覚を促すと同時に、ファンにお年玉のような話題を提供する。最高の演出だと思うよ。プロ野球は期待を抱かせてなんぼの世界だからね。

 起用法を公言して選手を伸ばすスタイル。私も監督時代、常に意識していた。チームの魅力はやっぱり選手。その商品価値をいかに高めるか。この選手はこれだけの能力を持っているんですよと周りにアピールし、それなりの使い方をしていけば必ず伸びる。そう信じていた。

 たとえば筒香。あえて突き放した時期もあるけど、2014年オフから「筒香の4番は決めている」と言い続けた。15年は全試合4番で使い、打率・317、24本塁打、93打点。去年はさらに・322、44本塁打、110打点と数字を上げた。本塁打、打点の2冠。日本を代表するスラッガーに成長してくれた。

 投手では山崎康晃だ。1年目の15年。最初は先発と考えていたけど、長いイニングはきついとみて抑えに決めた。開幕前のファンミーティングで本人に「開幕からストッパーで活躍します」と宣言させた。新人最多の37セーブをマーク。新人王を獲得した。

 このスタイル、チーム内の競争をあおる効果もある。DeNA監督1年目の12年。開幕投手はキャンプインしてからずっと高崎健太郎をにおわせた。

 実際に阪神との開幕戦(京セラドーム)は高崎に託したんだけど、ベテランの三浦大輔が「冗談じゃない」って発奮してね。引き分け、負けで迎えた開幕第3戦。7回を6安打2失点の見事な投球で監督初勝利をプレゼントしてくれたんだ。石田に大役を奪われた井納翔一や今永昇太が「なにくそ」と思ってくれたらしめたものだ。

 よその監督さんもファンに向けて選手をどんどんアピールしてもらいたいね。去年初めてCS出場にこぎつけたDeNAが証明しているように、観客動員数とチーム力アップは比例する。たくさんのファンに見られているとチンタラしたプレーはできないからね。

 選手が育つ環境を整えるのは監督の仕事。その第一歩として、まずは話題提供をよろしく!(本紙評論家・ 中畑 清)

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2017年1月10日のニュース