背水の鳥谷、新グラブ完成 全盛期10年と同じ水色で遊撃奪回だ

[ 2016年12月31日 05:30 ]

阪神の鳥谷
Photo By スポニチ

 復活を目指す阪神・鳥谷敬内野手(35)の“相棒”が決まった。来季使用するグラブが30日までに完成し、打率・301、19本塁打、104打点の好成績だった10年と同じ水色を配色。今季終盤に守った三塁用のグラブはあえて準備せず、遊撃一本で勝負する決意が改めて表れた。従来と同じ型で、験の良いカラーとなった新グラブでレギュラー奪回に挑む。

 あの輝きを取り戻す―。正念場のシーズンを迎える鳥谷が守備でのパートナーに選んだのは10年と同じ水色を配したニューグラブだった。

 鳥谷のグラブを担当する久保田運動具店の和田卓也氏は「(10年は)一番いい成績だったので、その思いを込めて『水色で行くよ』と本人には言いました」と説明。本人と協議の上で形は従来通り、色は黒と水色がベースで「Slugger」のロゴが水色と白色の2カラーを用意した。

 10年シーズンは主に「3番・遊撃手」で全試合フル出場し、打率・301、19本塁打、104打点の活躍でベストナインにも選ばれた。打率、本塁打は過去2番目に高く、打点は唯一の100打点超えで、まさに“キャリアハイ”の成績を残した。今回のカラー変更は原点回帰ならぬ「最盛期回帰」を少しでもアシストしたいというメーカー側の思いも込められている。

 ただし、形状は変えない。攻守に精彩を欠き、連続フルイニング出場が667試合で途切れるなど苦しみ抜いた今季。不動の定位置だった遊撃のポジションも終盤は北條に奪われた。11月末には金本監督と直接話し合って「ショート1本でやりたい」と直訴。あえて1種類の型のグラブで挑むことが不退転の決意の表れだった。

 「どうする?と聞きましたが、『どこでやろうが変えるつもりはない』と言っていた。実際に今年も(同じ型のグラブで)三塁を守っていますしね」

 担当の和田氏もその強い覚悟を感じ取ったと振り返る。「(三塁用には)小さいんですがね…。2年前に5ミリ長いグラブを作ったんですが、オープン戦に入って合わないと言ってきた。5ミリですが、『感覚が伝わってこない』と。(三塁用なら)1センチから1・5センチ長くなるんで」とこだわりに舌を巻いた。球界には遊撃と三塁のどちらも守る選手はいても、「グラブを変えないのは珍しい」という。

 現状のチーム方針では遊撃手の1番手候補は北條で、鳥谷も分かっている。最終的に金本監督から三塁や二塁への転向を指示されれば、もちろん従う姿勢ながら、最初から“逃げ場”をつくるつもりはない。使い慣れた形、そして縁起の良い色の新グラブを手に“聖域”を奪回する覚悟だ。

続きを表示

2016年12月31日のニュース