荒川博氏が“最後の弟子”渡辺勝に遺した言葉「ダメになった時が成長する時」

[ 2016年12月29日 13:15 ]

荒川博氏の告別式に参列した「最後の弟子」中日育成の渡辺勝
Photo By スポニチ

 天国の師へ、恩返しを誓った。昨秋の育成ドラフト6位で入団し、来季2年目を迎える中日の育成・渡辺勝外野手(23)。巨人の元打撃コーチで王貞治選手に「一本足打法」を指導するなどし、今月4日に心不全のため、86歳で死去した荒川博(あらかわ・ひろし)氏の弟子にあたる。

 中学時代に“荒川道場”で指導を受けたのが最初の出会いだった。現在も「一本足打法」を継続中で、ウエスタン・リーグの試合でも、その姿はファンの目に留まる。

 今夏も都内で指導を受け、12月も荒川氏の元へ足を運ぶ予定だったという。「周りの人たちが野球をして、指導をしているときは元気になる、と言っていた。ボクが最後の弟子と言ってくれて…」。それだけに、突然の訃報に「信じられないです。言葉にならないです…」と声を詰まらせていた。

 苦しいとき、励ましてもらった言葉があるという。「(荒川氏から)言われたことができなくて申し訳なくて…。ボクが一度だけ泣いた時、人間、ダメになった時が成長する時だと言ってくれた。その言葉が印象に残っています」。受け継いだ言葉は、ノートやメモに残してある。これからも胸に刻んでいく。

 今季はウエスタン・リーグで64試合に出場し打率・275、21打点だった。

 「(恩返しは)支配下になるだけでは物足りないです。支配下になることは、第一線で活躍するための第一目標。(教えを)どこまでも貫いて、この世界で生きていきたい」

 悲しみを胸にしまったその目には、来季にかける強い決意が感じられた。(中日担当 細川 真里)

続きを表示

2016年12月29日のニュース