石井一久氏が明かす 大谷×ホリプロ スポーツ選手が芸能事務所と契約を結ぶ意味

[ 2016年12月28日 09:15 ]

「石井一久 クロスファイア」

笑顔で引き揚げる大谷(左)とダルビッシュ(右)。中央は杉谷
Photo By スポニチ

 日本ハムの大谷が先日、大手芸能プロダクションの「ホリプロ」とマネジメント契約を結んだ。ご存じのように、僕も吉本興業の契約社員としてスポーツ選手のマネジメント業務に携わっている。芸能事務所と契約すると、「テレビやCM出演が増える」というイメージを持つ人もいると思うが、それはマネジメントのごく一部。もちろん、メディアへの露出を増やしたいというアスリートもいるが、多くはより競技に集中できる環境を整えたいとの考えからだ。

 僕が吉本興業と契約したのは、メジャーに移籍する02年のこと。米国でプレーしたいと思っても、どう進めていけばいいのか分からない。それを手助けしてくれたのが、代理人とのパイプがあり、ノウハウがあった吉本興業だ。米国人の代理人と直接コンタクトを取るやり方もあるが、マネジメント会社のワンクッションが入ることで、代理人とよりいい関係を築くことができると考える。

 今は選手からマネジメントする側の人間となった。移籍の相談に乗るだけでなく、身の回りの小さなこともサポートする。選手が「なかなか寝られないんです」と言えば、ぐっすり眠れる布団や枕を探してあげるのも仕事。僕が大事にしているのは、「クエスチョン」を投げかけてあげること。例えば「球場までの車通勤は疲れない?」。自分から言いにくいことでも聞かれると、本音で答えやすい。「疲れます」と言えば、運転手を紹介してあげたりもする。

 ただ、誤解しないでほしいのは、マネジメント会社は何でもやってくれる「シッター」ではない。一度引き受けたら、引退後のセカンドキャリアを含めて一生、サポートしていくことになる。本当に長い付き合いになるので、マネジメントする側も「はい、いいよ」と誰も彼も簡単に引き受けることはない。そこには人と人のつながりや信頼関係が重要になる。

 大谷がマネジメント契約を結んだことは、来季パフォーマンスを向上させる上で、プラスになると思う。ちなみに僕は偉そうなことを言っているが、自分のマネジメントはできていない…。 (スポニチ本紙評論家)

続きを表示

2016年12月28日のニュース